空前の「出川ブーム」の背景 「お笑いウルトラクイズ」で出川哲朗が役者から芸人に生まれ変わった瞬間

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もとは俳優志望、ウンナンとともに仕事が増加

 出川哲朗といえば、かつては「女性に嫌われる芸人」の代表格だった。雑誌の「嫌いな男」「抱かれたくない男」ランキングでも常に上位をキープしていた。

 しかし、ここ数年、出川はタレントとして劇的にイメージを向上させている。日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」のロケ企画では、出るたびに大きな話題になっている。また、テレビ朝日「出川一茂ホラン☆フシギの会」、テレビ東京「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」、NHK Eテレ「出川哲朗のクイズほぉ~スクール」など数多くのレギュラー番組を持っている。

 いまやテレビ界では空前の「出川ブーム」が起きていると言っても過言ではない。若い世代の人は、彼が「抱かれたくない男」という汚名を着せられていたことすら知らない。出川のイメージがここまで大きく変わったのはなぜだろうか。

 彼はもともと芸人ではなく俳優志望だった。横浜放送映画専門学院(現・日本映画 大学)に入り、そこでウッチャンナンチャンの2人と出会った。卒業後、彼らと共に「PROJECT TEAM SHA.LA.LA(現在の劇団SHA.LA.LA)」を立ち上げて、自らが座長となって会場の手配などあらゆる雑務をこなしていた。この時点での出川は、同期生をまとめて劇団を運営する兄貴分のような存在だったのだ。

 ウッチャンナンチャンの人気に火がつき、テレビの仕事が増えると、そこに出川も一緒に呼ばれるようになった。そして、あるとき、番組の企画でジェットコースターに乗せられた出川が、本気で怖がっている様子が面白いと評判になった。

出川の運命を変えた「お笑いウルトラクイズ」

 彼は役者を志しているだけあって、もともと二枚目を気取っているようなところがあった。自信満々に振る舞っているのに、ピンチに陥ると人目もはばからず泣き叫んだりする。そのギャップこそが、出川のリアクションが面白がられた最大の要因だ。いわば、お笑いで言うところの「フリがきいている」という状態だったのだ。

 その後、出川の運命を変えたのが日テレ「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」という番組である。大型バスをクレーンで吊るして、その中に芸人たちを閉じ込めてクイズを出題するなど、大掛かりで無謀なロケの数々で伝説を残した番組だ。

 ここでも、たけし軍団、ダチョウ倶楽部をはじめとする歴戦の猛者たちに囲まれて、芸人ではない出川は最初、肩身が狭い思いをしていた。だが、獅子奮迅の活躍を見せるようになり、番組内でもどんどん評価が上がっていった。

 そして、司会のビートたけしにふざけて「タケちゃん、よろしくな」と話しかけたところ、芸人たちが出川を取り囲み、袋叩きにする動きを見せた。このとき、出川は芸人たちの手荒い洗礼を受けて、「ああ、やっと仲間に入れてもらえた」と思い、涙が出るほどの喜びを感じたという。

 この番組を通じて、笑いを取るために必死になる芸人たちの裏の苦労を知り、バラエティの仕事に今まで以上に真剣に向き合うようになった。いわば、ここで出川は「役者」から「芸人」へと生まれ変わった。

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