「総理はどうせ知らない」「知事会はコントロールできる」 政府内部文書が示す総務省・新次官の本性とは?

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「格差が拡大しているかのように説明すればよい」

 かような状況下にあってなお、内藤氏は「偏在是正措置」をさらに強化すべく画策しているという。もちろんそこには理由があり、

「22年度の税収は前年度より約4兆円増加して71兆円超となりました。国の税収が増えると、地方は地方交付税を増やしてほしい、と圧力をかけてきます」

 と、先の政治部デスク。

「ただ、地方交付税を増やせば、その分だけ国の財源が減ってしまいます。そこで、偏在是正措置を無理やり行うことによって大都市から税金を奪取し、ばらまくことで地方を納得させようとしているわけです」

 冒頭で触れたレクメモには、内藤氏がかなり強引にコトを進めようとしているとうかがわせる発言も残されている。いわく、

〈都市と地方の財政力格差が実際に拡大していないのであれば、拡大しているかのように説明すればよい〉

〈偏在是正措置を講じるためのトリガーを無理やりでもいいから探さないと〉

〈大事なのは、実際には税の偏在性はないが、いかにあるように見せるかだ〉

 偏在是正措置を進める理由を“捏造”せよ。そう指示しているに等しいと言ってよかろう。

 さる総務省関係者によると、

「内藤氏は自身の意に反する報告や提案がなされると、厳しい口調で従わせようとするなど、パワハラ体質で知られています」

 一連の強引な発言にも、そうした本人の気質はよく表れている。その上、総理を揶揄するようなことまで公然と口にするのだから、一官僚とは思えぬ傲慢さである。

「密会メモ」

 また、彼が自らの力を過信する背景には、「全国知事会」の存在がある。先に触れた鳥取県の平井知事は全国知事会の会長だ。

「現在、47都道府県のうち、総務省OBの知事は鳥取県、宮崎県、山口県など10人もいます。全国知事会の会長になるには5人以上の知事の推薦が必要なのですが、平井知事は総務省OB知事たちを利用することで会長の座を得ることに成功しました」

 と、政府関係者は語る。

「内藤氏が強引に偏在是正措置の強化に突き進むのは、総務省OB知事たちに恩を売りたいためでもある。国の財源を守ることで内藤氏は官邸からの評価を上げられ、OB知事たちは本来大都市に落ちるはずだった金を受け取れる。偏在是正はそれぞれにとってWinWinの措置なのです」

 無論、総務省OB知事らとて、金が分配されるのをただ手をこまねいて待っているわけではない。

 それが分かるのが、

〈知事会との打合わせ(夏の提言案 等)〉

 と題する内部資料。去る6月2日、内藤氏の部下の総務省幹部と、総務省OBが知事を務める鳥取県と宮崎県の幹部の間で行われた極秘会議の内容を記録した「密会メモ」である。〈個人メモ・読後破棄〉とあるからかなり機密性の高い文書なのだろう。

「7月25、26日に全国知事会議が予定されています。それに先駆けて7月7日には全国知事会・地方税財政常任委員会が開かれることになっており、その場で偏在是正にも触れた提言案が実質的に固まります。『密会メモ』から分かるのは、あたかも全国知事会が偏在是正を求めているかのように見せようと画策する総務省幹部たちの言動です」(先の永田町関係者)

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