「総理はどうせ知らない」「知事会はコントロールできる」 政府内部文書が示す総務省・新次官の本性とは?

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 歯止めのかからない少子化や急激な円安など、日本がかつての「強さ」を失いつつあることは誰の目にも明らかだ。原因はさまざまだが、「官僚の劣化」もその一つだろう。以下は、自らの権益を守るため、日本の国力をそぐ方向にまい進する総務省の「インナーレポート」。

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〈総理はどうせ何も知らないのだから何も言わないのではないか〉

〈平井知事は自分の同期だから知事会はどうにでもコントロールできる〉

 総務省内部から独自に入手した資料にはそんな発言が記録されていた。今年春、総務省の総務審議官、内藤尚志氏(61)に対し行われたレク(説明)のメモ。岸田総理は〈どうせ何も知らない〉、鳥取県の平井伸治知事とは同期だから〈知事会はどうにでもコントロールできる〉――内藤氏の発言は何とも不遜である。しかし、過去にも岸田総理を軽んじる発言を度々していたことで知られる内藤氏が総務省官僚のトップ、事務次官の座に就くというのだから驚かされる。発令は7月7日だ。

 冒頭で紹介したレクメモは「偏在是正」に関するものである。

「偏在是正とは、東京や愛知、大阪などの大都市に集中する法人事業税と法人住民税の一部を国が“収奪”し、地方に配分する措置のこと。自治体間の税収の格差を抑える狙いで、2008年から導入されました」(全国紙政治部デスク)

「日本の国力を衰退させただけ」との指摘も

 東京都の税収は毎年4千億円ほどが失われる格好となっていたが、19年度から「偏在是正」措置が拡大。19年度は5500億円、20年度は7千億円、21年度は1兆2500億円と、都の財政への「影響額」は年々増加しているのだ。

「これだけの財源を奪うことでどれほど大都市の力がそがれていることか。一方の地方も何の苦労もなく金が入ってくることで、創意工夫や努力を怠るようになってしまった。結局、偏在是正措置によって得られたものは何もなく、日本の国力を衰退させただけではないか、との指摘も出ています」(永田町関係者)

 もはや「偏在是正」は必要なし。当の総務省がその事実を把握していることを示す内部資料もある。

 それは、

〈H30地方法人課検討会報告書において偏在是正が必要とした理由の状況〉

 と題するペーパーで、

「そこでは内藤氏に対して、偏在是正を行う根拠が存在しないことを次のように説明しています。『地域間の財政力格差拡大』については、『全体の財政状況は改善、格差は縮小』。『地方団体の意見』については、『現段階で特段の意見なし』と」(同)

次ページ:「格差が拡大しているかのように説明すればよい」

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