ロッテ・佐々木朗希に異変 「剛速球と奪三振」よりも「変化球」にこだわり始めた理由

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WBCで得た教訓

「今春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が精神面で彼を成長させたとも言われています。メキシコとの準決勝で先発しましたが、4回に3ランを浴びてしまいました」(前出・同)

 その被弾した4回で佐々木はマウンドを下りた。ベンチに戻ると、その足でロッカールームまで進み、号泣したそうだ。この時点でのスコアは「0対3」、気を抜いたわけでもない。ほんの少し、フォークボールが自分のイメージよりも落差がなかっただけである。「失投」と言うには残酷な投球ミスが、佐々木に勝負の厳しさを刻み込んだという。

 三振や球速よりも勝利にこだわる理由はこの辺りにある。また、変化球主体となった5日のピッチングだが、吉井監督は「もっと真っすぐを投げてほしかった」と苦笑いしていたが、スライダー、フォークボールを多投し始めたのは初回のマウンドからだった。改めるよう注意しようと思えばいつでもできたはずだ。吉井監督も侍ジャパンの投手コーチとして、佐々木の号泣は目の当たりにしている。その佐々木と捕手・田村龍弘(29)のやりたいようにさせたということは、「ゼロに抑え、勝ちにこだわり始めた」心境の変化を成長として捉えていたからだろう。

「今秋のドラフト会議で、佐々木と同学年の大学生投手が何人も1位指名候補に挙がっています。全日本大学野球選手権で青山学院大を18年ぶりの優勝に導いた常廣羽也斗(4年=大分舞鶴)、東洋大の細野晴希(4年=東亜学園)、桐蔭横浜大の古謝樹(4年=湘南学院)は即戦力とも称されています。4年前、佐々木はヤクルト・奥川恭伸(22)、阪神・西純矢(21)、及川雅貴(22)といっしょに『四天王』と呼ばれていました」(前出・同)

 四天王のなかで侍ジャパンメンバーまで駆け上がったのは佐々木だけだ。しかし、大学に進んだ同級生たちの好評価は耳に入っており、かつての「松坂世代」のように、「朗希世代」と呼ばれるようになるかもしれない。また、弟の伶希も大船渡高校の背番号1を継承し、「甲子園出場」を目指している。

「佐々木はまだ全力で投球していません。このまま順調に体が出来上がれば、吉井監督からリミッター解除の許可も出ます。そのとき、どれだけの球速が出るのか」(ベテラン記者)

 真骨頂の三振ショーにも伸びしろがあるようだ。今年の球宴は佐々木が新世代の幕開けを見せてくれそうだ。

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