永山絢斗逮捕で「東リベ2」は大迷惑 制作前に「メディカルチェック」が導入されなかった“日本的な理由”
大麻取締法違反で逮捕・起訴された永山絢斗被告(34)の出演映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 ―決戦―」が、予定通り公開された。一方、自殺幇助の疑いで逮捕された市川猿之助容疑者(47)の「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」は、公開延期のまま。この差はどうして生まれたのか。また、薬物に手を出す芸能人を映画やドラマから締め出す手立てはないのか。
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映画、ドラマの制作前に「メディカルチェック」を
永山絢斗被告の逮捕は6月16日未明。「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 ―決戦―」(以下、東リベ2後編)の公開が同月30日に迫っていたので、製作委員会は宣伝スケジュールの変更を余儀なくされた。
それでも公開への目立った悪影響は見られず、興行収入は最初の3日間で約6億円を記録。4月に封切られた前編並みの成績だった。
だが、製作委員会関係者の永山絢斗被告への怒りは収まらない。永山被告はクランクイン前、所属事務所を通して、「薬物はやっていない」とする誓約書を提出していたからだ。
永山被告は警視庁の取り調べに対して「随分前からやっていた」と供述したという。製作委員会側は騙されていたことになる。
予定通り公開することを制作委員会側が発表したのは6月19日。逮捕の4日後だった。公開にあたって世間から一定数の批判が上がることを覚悟した上での、苦しい判断だっただろう。
誓約書が無意味だったことを受け、一部の芸能事務所から上がっているのが、「ハリウッドと同じく、出演俳優たちにメディカルチェックを実施するしかない」という意見。芸能人の薬物犯罪が絶えないため、数年前からあった声なのだ。
ハリウッド作品の大半は、俳優に対してメディカルチェックを実施する。薬物使用によって撮影を急にキャンセルされたり、演技が乱れたりするのを防ぐのが主な狙いだ。若手俳優が出演者候補になっただけで、スタッフは「メディカルチェックを受けて」と声を掛ける。
日本の場合、逮捕者が出ることを未然に防ぐことが目的になる。永山被告が招いたような混乱は避けられる。
日本でも米国と同様のメディカルチェックが受けられる。薬物については血液と尿で調べる。それにより、覚せい剤、大麻、コカインなど約10種の薬物使用が分かる。また、心電図検査も行い、撮影に耐えうる健康状態かどうかも調べられる。費用は1万円台で済む。
「薬物をやる者が出演者にいると、関係者全員が迷惑する。メディカルチェックは任意だが、受けない俳優は出演依頼を取り消したらいい。するとメディカルチェックを受けない俳優は仕事がなくなるから、薬物をやる人間は第一線から消える。仕事をやりたかったら、薬物をやめればいいだけの話」(芸能事務所幹部)
一部の芸能事務所では2000年代から所属者の薬物検査を実施するようになり、その後、ほかの事務所にも広まってきた。薬物検査で陽性になったら契約解除。だから、所属者たちは薬物に手を出さない。これをメディカルチェックの形にして、映画やドラマの制作現場にも導入すればいいわけである。
なぜ、メディカルチェックがこれまで導入されなかったのかというと、「信頼関係を大事にしたい」「そこまでやらなくてもいいだろう」という意識が制作者側にあったため。しかし、信頼を裏切ったのは永山被告が初めてではない。口先の誓いではなく、検査を信用すべきではないか。薬物に手を出す芸能人も減るに違いない。
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