抗がん剤治療をせずに「ステージ4から4年」「腫瘍縮小状態を維持」 当事者が明かす「がん共存療法」
生命倫理委員会の承認が
その日を境に事態は急速に進展することになった。2人の桜町病院常勤医師が、同院の「生命倫理委員会」に提出する「『がん共存療法』臨床試験」に関する「倫理審査申請書」の共同提案者に名を連ねてくれたのだ。
一人は説明会の後、にこやかに感想を述べてくれた呼吸器内科楠本洋部長、そしてもう一人は、旧知のホスピス科三枝好幸部長であった。
9月初旬に開催された生命倫理委員会には私も出席を求められ、委員からいくつもの質問があり、また内容の追加や修正を求められた。それらの指摘を全て満たした倫理審査申請書を再提出し、9月半ば「がん共存療法」の臨床試験は生命倫理委員会の承認を得ることができたのだ。
この時点で、前述した佐々木理事長には、桜町病院で臨床試験ができそうである旨報告した。佐々木理事長は良かったですねと、労いの言葉をかけてくれた。
プロジェクトチームが設立
9月下旬、小林院長の発案の下に、共同提案者の2人の医師や院長を含む5名の医師の他、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、事務職による「臨床試験プロジェクトチーム」が立ち上がった。
10月下旬、日本財団へ正式に、桜町病院の母体である社会福祉法人聖ヨハネ会として助成金申請を行った。そして1カ月後の12月初め、助成金申請が承認されたとの通知があった。
その時点で、私は臨床試験担当の非常勤医師として桜町病院に採用された。ようやく「がん共存療法」の臨床試験を始めることができるのだ。
私は、この間に力を貸してくれた全ての関係者の皆様へ、深く感謝しながら、いよいよこれからが本番だと気を引き締めた。
[5/8ページ]