テレビとラジオは「高速道路と下道ぐらい違う」 メッセンジャー・黒田が語るラジオの最大の難しさと醍醐味とは

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小さな言葉の渦が大きくなるまで…

 何を言いたいかといえば、テレビでは問題が起きても周りの演者もしくはスタッフが何とかしてくれるが、ラジオは自分で何とかしなくてはならない。一旦口にした言葉は自分で回収しなくてはどうしようもない。テレビは編集が当たり前だが、ラジオは聴覚のみのものなので、編集をすると即座にリスナーにばれてしまう。編集の多いラジオなんて面白いわけがない。かといって、いくらパーソナリティーはじめスタッフが“今日は神回にしよう!”なんて息巻いたところでそんなに都合良くなるわけはない。何気なく発した言葉がまれにだんだんと大きな渦になってリスナーに伝わり、そしてさらなる渦を巻いてわれわれの所に帰ってくる。それが俗にいうラジオの神回ではないだろうか。その渦は決して笑いだけではなく共感や情報、はたまた悩みの解決につながっていく。それがラジオの醍醐味だ。

 ラジオの神回は祈っても念じても決して訪れない。スタジオのカフをあげた時に、リスナーが目の前にいるのを想像し、まるで喫茶店で話をしているがごとく肩の力を抜き、それでいて小さな言葉の渦が大きくなるまで言葉を発し続けるしかない。そしてその渦を大きくするのはラジオを聞いているリスナーさん一人一人なのだ。

黒田 有
1970年大阪府生まれ。1991年にあいはらと「メッセンジャー」を結成。2022年「メッセンジャー黒田のチラシダス」(MBSラジオ)で第59回ギャラクシー賞選奨を受賞。著書に『黒田目線』。

デイリー新潮編集部

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