テレビとラジオは「高速道路と下道ぐらい違う」 メッセンジャー・黒田が語るラジオの最大の難しさと醍醐味とは
台本のないラジオで神回を生み出せるように
MBSラジオ「それゆけ!メッセンジャー」のパーソナリティーを務める、メッセンジャー黒田有。テレビでも活躍する黒田が語る、テレビとラジオの一番の違いとは?
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ある通販会社の社長に“テレビよりラジオの方が商品がよく売れる場合があるんです”と聞いたことがある。“そんなわけないやろ!”と驚いて訳を聞いてみると“人間は現物を目にしてしまうと、何かと勘繰ってしまう生き物。その点、耳で聴くだけだと商品を自分の頭の中で想像して試してみようと思うんだ”とか。落語なんかも名人になるとテレビで見るよりもラジオで聴く方が圧倒的に喜怒哀楽が伝わってきて楽しめるらしい。
僕自身、数々のラジオ局にお世話になった。現在もMBSラジオで“それゆけ!メッセンジャー”という長寿番組のパーソナリティーを担当させてもらっている。ラジオには基本、台本はない(他の番組は知らないが、少なくとも私が出させてもらった番組は……)。全ラジオのパーソナリティーは毎回いわゆる“神回”になるよう全力で頑張っているのだろうが、そうはいかない。
テレビとラジオは「高速道路と下道」ぐらい違う
テレビとラジオは似て非なるものだ。テレビにはある程度の打ち合わせは不可欠だ。どんな番組でもその都度の“テーマ”が存在するからだ。例えば“パン特集”ならあくまでパンをメインに話を転がさなくてはならない。どんなに話が違う方向に行っても最後はパンの話に着地しないとテレビ番組は成り立たない。
しかしラジオは違う。あまりにも一つのテーマに頼りすぎるとみんなが同じ方向に想像を膨らますので面白みがない。おなじみの時代劇“水戸黄門”なんてラジオで聞いても面白くないはずだ。必ず最後に印籠をみんなに見せて事件が解決するからだ。立ち回りのチャンバラや悪党がひざまずくところを観て痛快さを感じるのであろう。高速道路で車を運転するか、下道(したみち)で車を運転するのかにも近い。高速道路で突然お腹が痛くなったらパーキングエリアかサービスエリアに向かう。しかし下道ならばどうだろう。今はコンビニなどはたくさんあるが田舎道や山道ならば一向に見つからないこともある。偶然見つけた民家があればそこで貸してもらうか、最悪、“野○○”も覚悟しなければならない。同乗者の記憶にはどちらの方が鮮明に残っているだろう。
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