中日・立浪監督の“ゴミ箱キック”だけじゃない…過去には「ファンがベンチに殴り込み」「ベンチ内乱闘」も勃発
「大杉のバカヤロー!」
中日・立浪和義監督が6月16日の日本ハム戦で、自軍の不甲斐なさに激高し、ベンチ通路脇のゴミ箱を蹴った行動が話題になった。「ビッグボス」ならぬ、「キックボス」という“不名誉なニックネーム”もネット上に登場した。だが、過去には“ゴミ箱キック”が霞んでしまうくらい、「ベンチで暴れた」人々も存在した。【久保田龍雄/ライター】
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酒に酔った男性ファンがベンチに殴り込みをかける騒ぎが起きたのが、1970年5月15日に福岡・平和台球場で行われた西鉄対東映である。
事件が起きたのは、0対2とリードされた東映の6回表の攻撃中だった。先頭の4番・大杉勝男が左飛に倒れたあと、ベンチの最前列に座っていると、突然30歳くらいの男性ファンが現れ、大杉めがけて掴みかかった。
組んずほぐれつもみ合う形になった二人は、そのままの状態でグラウンドまで出てきたため、スタンドは騒然とし、試合も一時中断した。間もなく男性は、警備中の警察官に取り押さえられた。
実は、この男性は試合中にベンチ後方の通風孔まで押しかけ、「大杉のバカヤロー!」「張本(勲)のアホウ!」などと大声でわめき散らしていた。初めは無視していた東映ナインも、あまりにもしつこいので、警備員を呼び、通風孔越しに「静かにしないと、取り押さえる」と注意してもらった。
ところが、男性は選手が言ったものと思い込んで逆上し、ベンチの屋根から飛び降りるやいなや、目の前にいた大杉に襲いかかったという次第。大杉といえば、同年4月28日の西鉄戦で、体当たりしてきたボレスのラフプレーに怒り、右ストレート一発でKOした武勇伝の持ち主だ。酒の力を借りたとはいえ、怖いもの知らずの行動と言うしかない。
近鉄・デービスは“流血の惨事”
思いどおりに打てない自分自身に腹を立て、ベンチのアイスボックスを叩き壊したのが、近鉄の主砲、デービスである。
1986年の5月7日の西武戦、第1打席の三振に続いて4回の第2打席も中飛と2打席連続凡退したデービスは、ヘルメットをマウンド付近に投げつけてベンチに戻ってくると、左端にあったアイスボックスを拳でボコボコ殴りはじめた。
ところが、何度も殴打を繰り返すうち、ついにガラスが割れ、清涼飲料水の入った水の中に左手を突っ込む形になったデービスは、ガラス片で肘から手首にかけて約7センチを負傷。思わぬベンチ内の“流血の惨事”に、ナインも真っ青になり、デービスはそのまま病院に急行。左前腕内側切創で12針も縫う羽目になった。
通常なら6針程度で済むそうだが、傷口を広げないために大事を取った結果で、見た目ほどの重傷ではなかったことが、不幸中の幸いだった。
試合終了直前、包帯姿で球場に戻ってきたデービスは「いろんなことでカッとなってしまった。今までカッときたことはあっても、ケガをしたのは初めてだ。(アイスボックスを殴打)こういうやり方しかできないのは、自制心が足りなかったということだし、これからは自制心を持って、ケガをしないように気をつけるよ」と反省しきりだった。
だが、それから約1ヵ月後の6月13日の西武戦、死球で自制心を失った助っ人は、東尾修を殴打する事件を起こし、全然懲りていなかったことを証明した。
同様の事件では、DeNAのパットンも、2019年8月3日の巨人戦でリリーフに失敗した直後、ベンチ内の冷蔵庫を殴打して骨折。公式戦残りのシーズンを棒に振っている。
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