鳥羽シェフの逆ギレ対応でまさかの飛び火 そもそも和田アキ子は「ご意見番」なのか?

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「ご意見番」から「老害」へ…アッコさん自身も葛藤していた「物言うヤンチャ」イメージのリスク

 もともとアッコさんといえば、周囲の男性タレントたちからの「恐怖談」ありきの人というイメージではないだろうか。出川哲朗さんや勝俣州和さんら、アッコファミリーと呼ばれる取り巻きが、夜中に電話で呼び出されただの酔っ払って殴られただのと訴える姿を繰り返し見てきた。その度笑いながら相手をどつき、「芸能界のゴッド姉ちゃん」という印象を強めてきたアッコさん。昔から日本の芸能界では、不良は人生経験豊富で相談役にうってつけという妙な「不良信仰」がある。故にアッコさんのヤンチャイメージがつけばつくほど、ご意見番としての説得力や影響力が増した時代は確かにあった。

 けれども悪行や権力自慢への嫌悪感を示す視聴者は増え、毒舌・辛口ブームも下火になった。ここ数年で昔ながらのご意見番たちは、次々に表舞台から消えている。アッコさんの振る舞いも、「ご意見番」どころか「老害」と眉をひそめられることが増えてきたのではないだろうか。だいぶ丸くなったといわれているが、「ヤンチャ売りのご意見番」という立ち位置の危うさを、彼女が一番身をもって感じているだろう。

 実際のところ、アッコさん自身は「ご意見番」と持ち上げられることに葛藤も抱えていたようだ。2014年の「サワコの朝」では、ご意見番と呼ばれていることに対し明確に「イヤだ」と言っている。「ホンマでっか!?TV」に出演した時も、「テレビに出る時はいつも緊張する」「共演者にひどいことを言ってないか気になって電話することもある」と気の弱い一面を明かしていた。就寝前は睡眠導入剤が欠かせず、2021年の「情熱大陸」では「大量に飲んだことが一回だけあるが、われに返って吐き戻して泣いた」という凄絶な過去を語っている。

 それでも求められるうちは、豪快なご意見番としての和田アキ子像を貫くという。昔ならやせ我慢や自己犠牲の美学に映ったかもしれないが、今は見たまま聞いたままの情報が瞬間的に消費される。嫌われ者を気取るのは頭が悪いというより損に見えることは確かだし、そうしたイメージの積み重ねは結局「ご意見番」としてのパワーも奪ってしまうだろう。

「ご意見番」こそ「頭の悪さ」が不可欠 ハイリスクな立ち位置に次々と背を向け始めるタレントMC&コメンテーターたち

 そう考えると、「頭の悪いご意見番」という悪口は少しだけズレている。ご意見番として君臨し続けるには、「そもそもリスクの高さに目をつぶり続けられる頭の悪さと鈍感さがないとできない」のだ。今回の不倫に関しては、MCやコメンテーターを務めるタレントの多くが、歯切れの悪いコメントや沈黙を選んだ。それだけ有名同業者をメディアで批判することはハイリスクということを物語っている。事務所間の関係悪化はもとより、SNSでコメントがあっという間に拡散して炎上するからだろう。小気味いい一言を繰り出す一瞬の気持ちよさに溺れて、タレント生命を一生失うことになりかねない。

 こうした風潮の中で、「ご意見番」として口を開くことにほとほと嫌気が差しているのではという印象を、松ちゃんや上沼さんからは受ける。アッコさんも、緊張に耐えてまで「ご意見番」として突っ張ることへの虚しさを改めて感じたのではないだろうか。これを機に彼女が長年感じてきた重荷を手放せるのなら、鳥羽シェフの無礼も「笑って許して」くれるかもしれない。いや、やっぱり「いいかげんに1000回」とゲンコツを振り上げる方がアッコさんらしいか。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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