ソフトバンク、異次元の大型補強も…パ・リーグで抜け出せない深すぎる“問題点”

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外国人選手の不振

 大きな誤算が、外国人選手の不振だ。2年契約で昨シーズンから加入したガルビスは2年目の今年も浮上の兆しが見られず、新外国人のアストゥディーヨとホーキンスも一軍の戦力になっていない。

 6月には昨年限りで退団したデスパイネを再獲得しているのも、外国人選手の獲得が上手く機能していないことをよく表している。そのデスパイネも今年で37歳ということを考えると過剰な期待はかけづらい。

 他球団の編成担当者は、ソフトバンクの外国人野手については以下のように話している。

「ガルビスも今年から来たアストゥディーヨもメジャーでの実績はあるとのことですが、二軍でのプレーを見ていてもかなり苦しい印象ですね。外国人選手は練習ではとにかく飛ばすという選手も多いですが、この2人は練習でもあまり目立ちません。ガルビスは守備、アストゥディーヨはユーティリティという点を評価したのかもしれませんが、パワーのある選手が欲しいチーム事情を考えると少し疑問ですね。どうせお金をかけて獲得するならもっとホームランが期待できる選手を連れてきた方が他のチームにとっては嫌だったと思います」(他球団の編成担当者)

 改めてソフトバンクの外国人選手を見てみると、投手は戦力になっている選手は多い一方で、野手で近年活躍したのは再獲得したデスパイネと昨年退団したグラシアルくらいしかいない。

 また、デスパイネも元々はロッテでプレーしており、2014年から2年間中軸としてプレーした李大浩もオリックスから移籍した選手である。これを見ると外国人野手のスカウティングは大きな課題と言えそうだ。

順調ではない世代交代

 そして、今年に限らない大きな問題点は投手、野手とも世代交代がなかなか進まないという点だ。投手では独立リーグから獲得した藤井は嬉しい誤算だったが、それ以外で目立つのは大関とルーキーの大津亮介くらいで、この2人も年齢的には中堅に差し掛かっている。

 野手では、三森大貴、柳町達、野村勇が昨年レギュラーをつかむかと思わせたが、今年は故障などもあって成績を落としている。育成ドラフトで獲得した選手が戦力になっていることを称賛する声は多いものの、千賀、牧原大成、甲斐が揃っていた2010年以外では完全に一軍の戦力になったと言えるのは、投手では石川柊太、大関、野手では周東佑京くらいである。ドラフト上位で獲得した選手も低迷している選手が多く、昨年オフに移籍した田中正義(日本ハム)と大竹耕太郎(阪神)がチームの中心として活躍しているのも、何とも皮肉な話である。

 過去2年も優勝は逃しながらもAクラスはキープしており、今年も優勝争いしていることもあってそこまで厳しい声があるわけではないが、改めて見直してみるとチーム編成もドラフト戦略も成功しているとは言えないのが現実である。“世界一”を目指すという大きな目標のためにも、見直すべき点は多いのではないだろうか。

【主な先発投手の成績】(7月5日終了時点)
東浜巨:12試合5勝5敗 防御率3.52
大関友久:10試合4勝4敗 防御率2.33
石川柊太:12試合3勝3敗 防御率4.62
和田毅:11試合5勝4敗 防御率3.73
藤井皓哉:9試合5勝3敗 防御率2.35
有原航平:4試合3勝0敗 防御率0.94

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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