民放連ドラ7年ぶりの芦田愛菜、中村倫也は池井戸作品…夏ドラマ「お薦め3選」の見どころ
夏ドラマが始まっている。プライム帯(午後7時~同11時)には新作が15本ある。録画機やTVerを使っても全て観るのは至難だろうから、特にお薦めできる3作をご紹介したい。
芦田愛菜の民放連続ドラマは7年ぶり
7月15日スタート:日本テレビ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(土曜午後10時) 主演・松岡茉優(28)、助演・芦田愛菜(19)ほか
松岡は初の教師役。4月に慶應大生になった芦田は高校3年生に扮する。芦田にとって7年ぶりの民放連続ドラマとなる。
設定を聞いただけで興味をそそられる。鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡)は淡々と卒業式を迎えていた。
ちょっとした言動がハラスメントに問われる時代なので、九条は言動に極力注意し、生徒とも慎重に距離を置いていた。だから、教え子の旅立ちに感動はなかった。つつがなく役目を果たした安堵感のほうが大きかった。
九条は卒業する生徒たちを校舎の上階から見つめた。その時、D組生徒の誰かに背中を押され、突き落とされた。
落下する九条が「生徒に殺された」と思った瞬間、彼女はD組の教壇の前にいた。黒板には「令和5年4月6日」と書かれていた。卒業式から1年前の始業式だ。タイムリープしたのである。
その時、九条の目の前には談笑する30人の生徒たちがいた。しかし、九条は笑えない。生徒たちは1年後に自分を殺す容疑者たちなのだから。それからの九条は死が待つ自分の未来を変えるため、生徒との関係をあらためようとする。
それだけではない。九条は新たな1年で夫・蓮(松下洸平・36)や同僚らとの関係も再構築しようとする。こう書くと、「ブラッシュアップライフ」の二番煎じと言う向きもありそうだが、違う。この作品のテーマの柱は教育だからだ。
筆者が教師になった同級生たちと酒を酌み交わすと、突き落とされる前の九条のような教師が少なくないことが分かる。教師が絶対的権力者だった昭和期とは違い、今は生徒や保護者から糾弾されることを恐れながら日々を送っている。
すると、教師と生徒の関係はどうしても淡泊になりがちだが、それが正しい姿なのだろうか。この作品はその答えも出してくれるのだろう。日テレは中学受験を軸に小学生の実像を描いた「二月の勝者-絶対合格の教室」(2021年)でも確かな実績を残しているから、期待できる。
芦田はD組の生徒の1人・鵜久森叶を演じる。真面目な優等生なのだが、なぜかD組の全員からハブられていた。ありそうな話だ。
九条の前回の1年間で叶は1学期の途中で不登校となってしまった。新たな1年間では明るい学校生活を送れるのか。どうやら叶が新しい1年間におけるD組のキーパーソンになるらしい。
プロデューサーは「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(2019年)の福井雄太氏、演出も同作品の鈴木勇馬氏が手掛ける。
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