「逮捕近し?」謎の深まる札幌・頭部切断事件 専門家が指摘する捜査の焦点「防犯カメラ」リレー捜査の“死角”

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「交友関係」の洗い出し

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏の指摘だ。

「同伴者は退出する際、入室時にはなかったリュックサックを背負っており、その中に着替えた服などを入れていたと見られます。注目すべきは、入退室時ともに黒の大きなスーツケースを引いていた点で、このスーツケースに頭部を隠して持ち去ったと考えるのが妥当です」

 被害者の死因は出血性ショックで、遺体にあった刺し傷が致命傷になったと見られている。首の切断は殺害後とされ、遺体に防御創がなかったことから、不意打ちで襲われた可能性が高いという。

 強い殺意と残虐性を感じさせる犯行から「怨恨の線」が早い段階で疑われ、行きずりでなく「顔見知りの犯行」との見立てのもと、被害者の交友関係の洗い出しに「捜査の力点は置かれたはず」と小川氏は話す。

「道警はすでに被害者のスマホの発信履歴やSNSなどを解析し、交友関係についてある程度、把握できていると考えていい。それでも犯人特定に繋がる“決定打”には欠けるようで、捜査のポイントは防犯カメラの映像を繋げて犯人の足取りを追う“リレー捜査”に移っていると見ています」(小川氏)

「リレー捜査」の盲点

 被害者はホテルに入る前、近くで行われていたイベントに参加。その後、入室の約15分前にホテル近くの路上で同伴者と落ち合い、その場で数分間の立ち話をした後、一緒にホテルに入る様子が付近の防犯カメラによって確認されている。

「しかし一人でホテルを出た同伴者がタクシーや車に乗り込む姿は近辺の防犯カメラに映っておらず、徒歩で移動した可能性が浮上している。捜査本部の陣容は通常の殺人事件の倍に相当する240人態勢ですが、捜査員の多くは捜索範囲を広げながら界隈の防犯カメラの映像収集・解析作業に当たっています」(前出・メディア関係者)

 ただし“リレー捜査”には盲点があるとも。

「対象者が車に乗った際は、路上のカメラで捕捉できなくなる“死角”が生まれてしまう。ただ犯人がずっと徒歩で逃げ続けたとは考えにくく、捜査本部も周辺の駐車場が併設されたホテルなどの防犯カメラ映像を片っ端から入手していると聞きます。東京ほどではないにしろ、札幌市内に張り巡らされたカメラ網から忽然と姿を消すことは不可能。犯人にすぐ手が届く距離まで捜査は迫っていると見ています」(小川氏)

 途切れた点と点を「線」に繋げられるか。“Xデー”に備え、すでにメディア各社は臨戦態勢に入っているという。

デイリー新潮編集部

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