横尾忠則が明かす「デザインを捨てて絵画を選んだ瞬間」 ピカソ展の会場で落雷のような衝撃が

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 20歳の頃、結婚を前提で同棲中、彼女と神戸の三宮のガード下を歩いていたら、占い師に店の中から声を掛けられ、思わずふらふらと店内に入ると、僕の顔を見るなり、「声は聴こえど姿は見えず」と言われた。どうやら水商売の遊び人に見えたらしいのです。元々、占いにはそれほど興味がありません。

 1960年に上京したが、なんとなく頭の隅で、占い師が言う姿のない鳥が鳴いているような気がしてならなかったのです。上京間もなく、大阪から移転した広告会社を2ケ月で止めて、声は掛けられていたけれど、実態のないまま、架空の職場のことを考えていた時、あの占い師の「声は聴こえど姿は見えず」の心境は当っているように思え、この先きを占ってもらっていなかったので、何んとも不透明な気分が続いていました。...

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