鈴木エイトだけが知る山上徹也の知られざる肉声 事件に関する本について「自分の一部だけが抜きとられている」
犯行前にTwitterで送られてきたメッセージ
鈴木氏は、動機そのものなど、事件に関係する質問はあえてしていないという。
「それも重要ですが、私はそれよりも彼が事件前、何を考え、誰と接触し、どんなやり取りをしていたのかを知ることが重要だと思っています。そこにこそ山上がなぜ犯行に至ったのかについての答えがあるような気がしますので」
そうしたやり取りの中では、新たな事実も明らかになった。
「犯行の9日前、山上は私のTwitterにメッセージを送っていたんです。恥ずかしながらそれを山上から伝えられるまで、私はまったく気が付いていなかった。事件を示唆する内容だとしたら犯行を止められたのではないか……」
山上のメッセージは大要、
〈最近の統一教会ですが、7月10日、さいたま市でキャパ2千人での催しがある旨、知りました。コロナ禍で大規模な集会を控えてきた統一教会ですが、何年かぶりに活動を始めるのではないか〉
との懸念を表明、
〈この大会について参加者等ご存じのことはないでしょうか〉
と鈴木氏に問う内容だった。
「なぜそれを聞いてきたのか真意は不明です。しかし、彼が事件前に私とコミュニケーションを取ろうとしていたことはわかった。統一教会への恨みで安倍元首相を狙ったことについては、論理が飛躍しているという指摘もありますが、事前に私の記事を読んでいたことも含め、やはり彼の動機の核心には、統一教会と政治家との癒着があったことが推測できます」
彼の“肉声”に触れることのできる、貴重な証言だ。
「教育センター」に来る人の数が事件前のレベルに
一方で、この1年間の統一教会と自民党の対応には、まるで真剣味が感じられない、と鈴木氏は指摘する。
統一教会については、
「さすがに事件後は、街頭での偽装勧誘はなくなってきました。ただ、気になる動きはあります」
として言う。
「今年の1月、教団の関東エリアの『伝道出発式』がオンラインで行われました。これは“伝道を頑張りましょう”とハッパをかけたり、これまでの実績を報告、表彰する会です。映像を入手し確認したところ、その中で教団の幹部が“昨年の事件以降止まっていた伝道の数が、この12月には、事件前の水準に戻った”と報告していたんです」
具体的にはこういうことだ。
「教団の『教育センター』に来る人の数が事件前のレベルに戻ったというんです。『教育センター』とは、教義についてのビデオを見せる伝道の入り口。この受講人数が元に戻ったということですね。教団は以前、街頭での偽装勧誘から受講につなげてきましたが、今はそれができません。そこで過去に受講した人の再受講や、教団から距離を置いている2世への囲い込みを強化しているようです」
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