「会社に素敵な人が」と言い出した妻 浮気を警戒していた42歳夫がまさかの展開に「一体、自分はどうなっているのだろう」
前編【やっと理想の女性に出会いプロポーズ ところが彼女の出した“条件”に困惑「この結婚、大丈夫なのか」】からのつづき
桜田勇喜さん(42歳・仮名=以下同)は「男はこうあらねばならん」を押しつけられて育った。成長してからは抗うようにチャラい男を演じつつ、一方で“ただぼんやりした不安”を感じていたという。恋愛も長続きすることはなかったが、27歳の時に出会った美波さんに惹かれ、交際半年ほどでプロポーズ。彼女があげた条件は「結婚したら浮気しないって約束できない」だった。
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勇喜さんが30歳のとき長女が、2年後に次女が産まれた。美波さんは子どもはひとりでいいと言い張ったが、勇喜さんはどうしてももうひとりほしかったのだという。思いがけず、子育てが楽しかったのだ。
「僕自身が親からどうされたら幸せだったんだろうと考えながら子どもを見ていると、自分自身が子どもから愛情をたくさんもらっていることに気づいたんです。妻からは甘やかしすぎだと言われたけど、子どもはかわいい。魔の2歳のころだってかわいかった。妻はよく子どもと目線を合わせて、小さくてもわかるように言い聞かせていましたね。留学したときホームステイ先で、よくそういう光景を見かけたって。言えばわかるというのが妻の言い分でしたから、僕もそれに従っていました」
保育園に通わせ、地域の保育ママ制度や美波さんの友人などに頼んで、常にベビーシッターを確保していた。ベビーシッターに任せて、夫婦でデートもした。ふたりきりのデートでは大人同士の会話ができる。
「あるとき、ふたりでバーにいたら、外国人の男が美波をやたらと見ているんですよ。僕がいるのに何なんだとぶつぶつ言っていたら、美波が『ナンパされてこようかな。あなた、見てる?』とトイレに立ったんです。案の定、彼女が戻ってくるのを見計らって男が近づいた。ふたりはしばらく楽しそうに会話をしていました。美波は戻ってきて、『彼がね、あなたは何者なんだ、ただの友だちなのかというから、夫よと言っておいた』って。夫がいてもいいからふたりでどこかに行かないかと誘われたそうです。何だと、と立ち上がろうとしたら、彼はもういなかった。連絡先を交換してないだろうなと思わず言ったら、『あなたってつまんない男ね』と言われてしまいました」
きみこそモラルがなってないと勇喜さんはつぶやいた。ちょっとした大人の遊びよ、そんなに怒ることないじゃないと美波さんはむくれた。そのとき彼は思い出したのだ、結婚しても浮気しないなんて言えないと彼女が言ったのを。
「好きな男がいるんじゃないのと軽く言ったら、『会社に素敵な人が入ってきたの』と目を輝かせた。嫉妬させようとしているわけではなく、単純にそう思っただけみたいですが、彼女はやはりどこかモラルの基準がおかしい。僕は平静を装って『きみがどんなにあがいても、僕ほどきみを愛する男はいない』と断言してやりました。美波はうれしそうだった。こういうことを言われたいのかとちょっとわかった気がしました」
夫婦といえども、どこか危うい雰囲気を持っていたかったのかもしれない。だが、勇喜さんはそのとき、気を緩めたら本当に妻は誰かのところへふっと飛んで行ってしまうのかもしれないと危機感を抱いた。
「はたと気づいたら、僕の脳裏に…」
だから月に1,2回は、必ずふたりだけで出かける時間を作った。週末は彼が子どものめんどうを見ているからと美波さんを解き放つこともあった。彼女が自由を満喫して帰ってくると、キラキラと輝いているからだ。その輝きに嫉妬を覚えながらも、彼は妻は浮気をしないと信じ、「僕以上にきみを愛する男はいない」と美波さんを“洗脳”しつづけた。言葉と行動で、美波さんからの愛を勝ち取っていたかったのだ。
「子どもがいても、けっこう緊張感のある関係を築けたと思う。下の子が小学校に入ったとき、ふたりで『ここまでがんばってきたね』と讃え合ったんです。妻はこれからも男女として、夫婦として仲良くやっていこうねと素晴らしい笑顔を見せてくれました」
その時期、勇喜さんは社内で異動となり、今までまったく経験のない部署で新たな仕事をするようになった。気楽にものごとを考えられない彼にとって、この異動はストレスが大きかった。美波さんも心配し、珍しく彼の愚痴に耳を傾けてくれたという。
「その部署に以前からいる年下の男が、いろいろ仕事を教えてくれたんですが、教わるだけじゃなくて、自らアイデアを出さなければいけない。僕はそんなに創造力がないから、それがストレスだったんでしょう。6歳年下の彼は西条くんというんですが、親身になって助けてくれました。年は下だけど、僕は彼を『西条パイセン』と呼んだりしてました 」
ときどきふたりで飲みに行くようになった。西条さんは独身で、とっかえひっかえ女性とつきあっているという噂があった。
「はたと気づいたら、僕の脳裏に心に、体中のあちこちに西条くんが住み着いてしまったんです」
は? という表情を私がしていたのだろう。勇喜さんは「飛躍ですかね」と少し笑った。住み着いたというのは恋愛感情という意味なのかと問うと、彼は困惑したように「よくわからない」と言う。
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