地上波テレビの風潮を変えられるか…佐久間宣行の業界における重要な役割とは

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文化人の居場所がなくなる地上波テレビの現状を変えるか

 また、今のテレビではコンプライアンスが求められるようになり、過激なことがどんどんできなくなっている。そこで出演者に求められるのは「過激な感じがするがギリギリセーフの面白いこと」を言う能力である。それができる毒舌系の芸人やタレントは重宝される。

 一方、文化人はそんなテレビのルールを無視して自由奔放に発言するところに面白さがあるのだが、今の地上波テレビではそんな彼らの強みを生かし切れないことも多い。

 そのため、現代の典型的な文化人と言えるひろゆきや成田悠輔は、地上波テレビよりもAbemaTV、YouTubeなどのウェブメディアでよく見かける。地上波テレビほど規制が厳しくない場所の方が、彼らの持ち味を生かせるからだ。

 そんなわけで、地上波テレビでは文化人の居場所がどんどんなくなっているのだが、佐久間宣行がその風潮を変えるかもしれない。佐久間は現役のテレビマンであり、テレビのスタッフや視聴者に求められていることを正確に把握している。その上で、エンタメ文化全般に造詣が深く、昔ながらの文化人的な側面もある。

「オールナイトフジコ」で佐久間が司会者としての地位を確立すれば、テレビ業界全体で文化人タレントの起用法が見直され、彼らが再評価される時代が来るかもしれない。文化人タレントの未来は佐久間にかかっているのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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