24年間で2万本出演…44歳「セクシー男優のレジェンド」が語る引き際とセカンドキャリア 韓国でYouTuberデビューも

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「全肯定感のある体験」を伝えていきたい

 引退を意識し始めるのと前後して、同人の世界の存在を知るようになりました。最初は素人が好き勝手やっているアブナイ世界だって色眼鏡で見ていたのですが、実際にその世界の人達に会って話してみると全然違った。作ると、売ると、楽しむを個人が全て担っている。

 同人は審査機関を通さない作品です。でも違法なわけではない。「合法と違法」は「適正と同人」と同義ではない。僕の見た同人の人たちは、出演者が著作権を持つスタイルで、作品への関わり方の主体度は高い。“楽しく気持ちよく”を体現している人がたくさんいました。

 セカンドキャリアになるかもしれないと思って、去年くらいから身銭を切って僕も同人作品の制作を始めました。ただ、僕が作っているー動画はこれまで自分が演じてきた役割とは別の志向です。

 日本のセクシー動画は、男性器が女性を支配する男根主義視点で描かれがちです。僕も女性を思い通りにできるテクニックを身につけようと必死にやってきて、そんな能力を身につけたと勘違いしていた時期があった。

 でも、体験を重ねていく中でその間違いに気づいた。代々木忠監督も言っていたことですが、コントロールしようとする見下し目線で相手が喜ぶはずがない。本当に喜んでもらえる交わりとは、水平目線で相手を慈しみ、相手の喜びが自分の悦びになっていくこと。その先には、この一瞬のために、この人と交わるために生まれてきたと思えるくらいの「全肯定感」がある。これからはこの体験の素晴らしさを多くの人に伝え、体験してもらいたいと思っています。

新たに始めた韓国での仕事

 今年5月からは韓国でYouTuberも始めました。映画、ドラマでは日本よりもはるかに発展していると言われる韓国ですが、セクシー分野はようやくビジネスとして本格的に動き始めたばかりで、今活況を呈しているんです。

 韓国の男性たちの多くが日本のセクシー動画を見て育ってきたらしい。だから、僕、向こうでは結構知られているんですよ。ロケをしていると、「知ってる!」「見たことある!」って男性たちが近寄ってくる。名前まで知ってくれている人も。後ろ指指される仕事ではありますが、世界で名前が通じるなんて本当に光栄です。

 その韓国でも、日本と同じような間違ったハウツーが蔓延していることを知りました。儒教の国という影響もあって、日本よりもベッドの中で男尊女卑があるようなのです。まだ登録者数が1万人を超えたくらいですが、そんな韓国人の歪んだ性意識を変えるのに一役買えるぐらいになりたいねとスタッフたちとコンテンツ作りに励んでいます。

 男優として落ち目のタイミングでの海外進出になりましたが、サッカー選手のベッカムが引退間際にアメリカのリーグに渡ったような転身先として、韓国を考えているわけではありません。あくまで「セクシータレント」というセカンドキャリアの一つ。やっぱり“シュート”が決められなくなったらプロとしてのキャリアは終わりだと思うんですね。だから、韓国ではパンツ脱ぐつもりないです。

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