ワグネル反乱で揺れるロシア それでもウクライナ侵攻を続けられる根拠がある
西側諸国が直視すべき「不都合な真実」
だが、「好事魔多し」。
生産拡大を目指すロシア企業が従業員の確保に躍起になっていることから、人手不足が問題になっている。ウクライナ侵攻後、ロシアから数十万人の労働者が海外に脱出する一方、部分動員令で約30万人の若者が軍に召集されたことも災いしている。
ロシア中銀は、データがある1998年以降で「最もひどい状況」 との認識を示しているが、人手不足は世界共通の「悩みの種」であり、ロシアに限った問題ではない。
ロシアの財政赤字の拡大を問題視する声も高まっている。
ロシアの財政収支は昨年第4四半期以降、軍事費増大のせいで赤字となっている。2023年予算法でも、2025年まで財政赤字になることが見込まれている。
だが、筆者は「かつてのようにロシアが財政危機に陥る可能性は低い」と考えている。
ウクライナ戦争に伴う直接的な財政コスト(兵士や機材への支出)は、ロシアのGDPの約3%(年間670億ドル)に達したと推定されているが、第2次世界大戦中の当時のソ連がGDPの約61%を軍事費に費やしたことにかんがみれば、非常に小さい(6月6日付BUSINESS INSIDER)。
ロシアは当分の間、継戦能力を失う可能性は低いと言わざるを得ない。ウクライナを始め西側諸国は、この「不都合な真実」を直視すべき時期に来ているのではないだろうか。
[2/2ページ]