30年間で1万人を盗撮した51歳「斎藤果林被告」に実刑判決 裁判所は「ビデオカメラと単眼鏡」を没収したが、「治療は非常に困難」と指摘

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高い再犯率

 斎藤被告の場合は、検察がビデオカメラと単眼鏡の没収を求め、静岡地裁も認めた。本当に斎藤被告が億単位の貯金を持っているのなら痛くも痒くもないかもしれないが、判決としては重要な意味があるという。

「斎藤被告のビデオカメラや単眼鏡によって、多くの女性が甚大な被害を受けたわけです。静岡地裁は被告の犯した罪の重大性を鑑み、盗撮は絶対に許さないという強い姿勢を示すため、犯罪に使われた被告の私物を没収するよう判決を下したわけです」(同・若狭氏)

 だが、どれほど厳しい判決を下しても、斎藤被告が改悛の情を見せるかは分からない。実は盗撮事件による逮捕者の再犯率は高いのだ。

《平成27年版犯罪白書で報告されている特別調査では、裁判の確定から5年間に再び罪を犯し、再度、有罪が確定した者を対象にした再犯調査も実施しています》

《盗撮型77人の再犯率は36・4%で、性犯罪7類型の中で、痴漢型(44・7%)に次ぐ2番目の高さでした。さらに、盗撮型77人を出所受刑者(28人)に限ってみると、再犯率は60・8%》(註5)

ジェンダーレストイレと盗撮

 先に紹介した文春オンラインの記事は、斎藤被告が「撮る瞬間のアドレナリンがたまらない」と明かしていたという知人の証言を伝えた。

「検察官としての経験からも、そうした被疑者や被告は目立ちました。彼らは女性の入浴姿で興奮するのではなく、盗撮ため入念な準備を行い、撮影が成功したことで脳内麻薬が放出され、快楽を得てしまうのです。このような“報酬系”と呼ばれる神経回路が脳内に確立されているため、盗撮を止めようと一度は決心しても、脳内麻薬を求めて再び手を染めてしまう。刑務所を筆頭とする矯正施設ではカウンセリングに力を入れ、関係者の尽力は大変なものがありますが、率直に言って“治療”は非常に困難なのです」(同・若狭氏)

 再犯率の高さを考えると、改心して止める者は少ないことが分かる。さらに、盗撮に強い興味を示す“新人”は後を絶たない。となると、盗撮犯は増えることこそあれ、減ることはないということになる。

「LGBT議論の一環として、性別を問わない“ジェンダーレストイレ”の普及が検討されています。性の多様性という観点なら私も賛成しますが、検事や弁護士という職歴で得た経験を考えると、拙速な普及には疑問を抱きます。盗撮犯は再犯率が高く、ありとあらゆる卑劣な手を駆使して隠し撮りをします。男女共用の公衆トイレは、彼らに絶好の撮影スポットを与えることになりかねません。盗撮犯の実態を無視してジェンダーレストイレの議論を行うことは、やはり治安維持上、弊害が大きいと言わざるを得ないのです」(同・若狭氏)

註1:小さな違和感 盗撮団逮捕 県警自動車警ら隊 深夜に他県車(読売新聞・静岡県版:2022年7月20日)

註2:露天風呂 盗撮疑い 藤枝署など、男3人を逮捕(中日新聞・静岡版社会面:2021年12月3日夕刊)

註3:露天風呂を盗撮 起訴内容認める 静岡地裁初公判で被告(中日新聞・静岡版第3社会面:2022年1月21日朝刊)

註4:露天風呂盗撮 100カ所超 グループ主犯格 きょう判決 静岡地裁(中日新聞・静岡版第2社会面:2023年6月30日朝刊)

註5:ネクスパート法律事務所の公式サイト「盗撮の再犯で逮捕されるとどうなる?初犯との違い・逮捕後の対応」より

デイリー新潮編集部

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