30年間で1万人を盗撮した51歳「斎藤果林被告」に実刑判決 裁判所は「ビデオカメラと単眼鏡」を没収したが、「治療は非常に困難」と指摘

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「のこぎり」の意味

 逮捕された3人の中に「岡山市の無職男」がいた。当時の新聞記事は実名で報道しているが、ここでは名前を伏せる。冒頭で紹介したPAで職務質問を受けたのがこの男だ。

「車内から刃渡り6センチを超えるのこぎりが見つかり、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕したのが“盗撮グループ摘発”の幕開けでした。のこぎりは山中で露天風呂を盗撮する際、邪魔な木々を伐採するために使ったことが明らかになっています。最初に3人を逮捕し、後は芋づる式に13人が逮捕されました。彼らは医師、公安調査庁の主任調査官、会社役員、北海道の夕刊紙の社員、県庁職員など、それなりの“社会的地位”を持つ男たちだったことも話題を集めました」(同・記者)

 読売新聞は今年2月2日、「組織的盗撮 16人摘発 11都道府県で 押収資料1200点超」との記事を静岡県版に掲載。盗撮グループの実態を次のように伝えた。

《グループはSNSなどを通じて知り合い、複数の隠語を使って、盗撮などを行っていた。知人の女性を温泉旅行などに誘い出して盗撮する「プロジェクト」、動画にテロップをつけておもしろおかしく編集する「魔改造」、睡眠薬で女性を眠らせて性犯罪に及ぶ「眠り姫」など。撮影した画像や動画は、販売目的ではなく、グループ内で「上映会」を開き、楽しんでいたとされる》

盗撮のアドレナリン

 斎藤被告は静岡県警の調べに「20歳くらいの頃から約30年間、盗撮してきた。沖縄県を除く46都道府県、100カ所以上で、少なくとも1万人は盗撮した」と供述したという。

 斎藤被告の“前科”の一端をうかがわせる新聞報道がある。茨城新聞が2013年7月25日の朝刊に掲載した、逮捕を伝える記事だ。

 入浴していた少女の画像を電子メールで送ったなどとして、茨城県警が斎藤被告を逮捕したことが伝えられている。

 茨城県警は盗撮動画を販売するサイトの運営会社社長なども逮捕。このサイトや個人に、斎藤被告が動画を販売していた実態も明らかになった。

 22年3月10日、文春オンラインは「“盗撮のカリスマ”斎藤果林容疑者が逮捕 犯行グループの一員が明かす“卑劣な手口”『若い女性が集まる連休にはグループで“温泉盗撮旅”へ』」との記事を配信。かつて斎藤被告の盗撮グループに加わっていた男性に取材し、その証言を伝えた。

「男性は文春の取材に、『茨城県警に逮捕された時点で、斎藤被告は遊んで暮らせるくらいの金を稼いだようだ』と語っています。茨城県警の捜査によると、盗撮動画の販売サイトは年間で数億円の売上があったそうです。斎藤被告が巨額の利益を得ていたとしても、あり得ない話ではないでしょう。斎藤被告は男性に『女性の入浴姿は飽きるほど見て何も感じない。だが、撮影は楽しく、撮る瞬間のアドレナリンがたまらない』と話していたそうです」(同・記者)

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