マイナンバーカードの返納が45万枚以上に 介護現場からは「情報漏洩が怖い」と不満続出
「情報漏洩が最も怖い」
東京都目黒区にある特別養護老人ホーム「青葉台さくら苑」の坂井祐施設長が語るには、
「現在の紙の保険証は事務所内の鍵付きのキャビネットで保管し、開けられる者は限られています。最近の医療機関だと保険証のコピーを保険証として認めてくれないところもあるので、厳重に管理しつつも、夜間の救急搬送などに備え、いつでも取り出せる状態にしておく必要があります」
マイナ保険証になった場合、どう対応するのか。
「うちには、身寄りも成年後見人もいない、認知症を患う入居者がおられます。その場合、マイナ保険証の申請時に職員が暗証番号を設定し、管理するしかありません。入居者全員の暗証番号を紙でリスト化して、これも鍵をかけて管理することになるのか、わかりませんが、情報漏洩が最も怖いと感じています。泥棒でも入って、マイナ保険証と暗証番号をセットで盗まれたら大変なことになりますから」
「マイナンバーカードという名前をやめた方がいいのではないか」
こうした状況に業を煮やしたのか、今月4日、松本剛明総務相は高齢者に向けて暗証番号の設定がなくても、マイナカードを交付できるようにする方針だと明かした。さらに、河野太郎デジタル大臣も2日、NHKの番組で突然、
「マイナンバー制度とカードが世の中で混乱してしまっている」
「次の更新でマイナンバーカードという名前をやめた方がいいのではないか」
と、語った。
この発言のウラにあるのは「マイナカードのICチップに格納された電子証明書にはマイナンバーが記録されていない」という不都合な真実であろう。実はマイナンバーカードという名称にもかかわらず、プライバシーに配慮し、行政機関間で情報連携する際もマイナンバーは使われない。いわば、カードに記されたマイナンバー自体にそれほど意味はないのである。
7月6日発売の「週刊新潮」では、窮地に立たされた河野大臣の今後の処遇などと併せて詳報する。