借金15でも立浪監督は途中休養なし 中日入りした「宇佐見真吾」が頭角を現した意外な理由
日本人選手を見る目は正確
「現役ドラフトで細川成也(24)を選んだのは、立浪監督です」(前出・名古屋在住メディア関係者)
その細川が4番を任されるまでになったのは説明するまでもないだろう。6月19日に発表された日本ハムとの交換トレードで、立浪監督は捕手・宇佐見真吾(30)とリリーバー・
斎藤綱記(26)を獲得した。正捕手・木下拓也(31)の故障による緊急補強だったが、「宇佐見のリードは変わっていて面白い」と期待する関係者も少なくなかった。
宇佐見の在籍した巨人、日本ハムを知る関係者の一人がこう言う。
「良い意味で弱気、用心深いリードをするキャッチャーです」
それは、宇佐見の経歴に理由がある。宇佐見は公立高校から千葉県の城西国際大学を経て、プロ入りした。同大学は2019年の「第50回明治神宮野球大会」でベスト4、同年の「横浜市長杯争奪 第15回関東地区大学野球選手権大会」で優勝もしているが、それは全て宇佐見が卒業した後のこと。プロ選手に多い“野球エリート”とは異なる経歴が「用心深いリード」を構築させたという。
「プロ野球選手は野球強豪校の出身者が多いですよね。エリート街道を歩んでプロ入りした捕手は学生、アマチュア時代にバッテリーを組んだピッチャーもトップクラスです。多少の配球ミスがあっても、味方打線が打って取り返してくれますし、投手の力で抑えることもできるんです。しかし宇佐見は、一球のミスが敗戦に直結するような、いわば過酷な環境で野球をやってきました。とにかく慎重で、点を奪われないことに重点を置いたリードをします」(前出・関係者)
総得点リーグワーストの中日に合っているのではないだろうか。
その宇佐見がスタメンマスクのチャンスをもらったのは、6月29日の阪神戦だった。先発・松葉貴大(32)を勝利に導けず、試合後も「慎重になりすぎてしまった」とこぼしていたが、バットでは3打数3安打と貢献している。
ここで思い出されるのが、野村克也氏である。ヤクルト監督時代の小早川毅彦、阪神時代には新庄剛志(現日本ハム監督)、楽天では山崎武司など、他球団で戦力外を通告されたり潜在能力がありながら実力を発揮できたりしなかった選手を見事に復活させた「野村再生工場」で知られるが、宇佐見が正捕手の座を獲得し、中日の戦力が安定するようなら、まさに「立浪再生工場」ではないか。
“危険水域”の借金15になって、次のDeNA3連戦では1勝1敗1分け。「デッドラインは借金15」と公言したのは地元名古屋・CBCテレビの人気アナウンサーである。上位チームに肉薄できなければ、「立浪監督を応援していきたい」とする地元関係者もさすがにそっぽを向いてしまうのではないだろうか。
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