借金15でも立浪監督は途中休養なし 中日入りした「宇佐見真吾」が頭角を現した意外な理由
「借金15」で監督休養は?
「自力優勝の可能性」が消滅した。
数々の選手を“再生”させた野村監督は3位にランクイン【写真特集】プロ野球監督別リーグ優勝回数ランキングベスト10(1990年~2022年)
立浪竜が岡田阪神に大敗し、再び「借金15」に陥ったのは6月29日だった(7月2日現在も)。自力優勝ウンヌンは首位チームの戦況次第でまた復活するが、ペナントレース70試合目でこうしたマイナスの話題が出るのは、ファンにとっては情けない限りである。
「今年3月、WBCを前に侍ジャパンの壮行試合で中日が勝ちましたよね。侍ジャパンに勝った唯一のチームですよ。『ひょっとしたら?』と期待していたファンも少なくありませんでした。それが『借金15』、期待していた分、ファンの失望感も大きかったようです」(名古屋在住メディア関係者)
その「借金15」がヤバイのだ。2016年、当時の谷繁元信監督(52)の途中休養が発表されたときの借金は「15」。立浪和義監督(53)の前任監督の与田剛氏(57)も21年シーズン、133試合目で「借金15」に到達したときに退任の方向がスポーツメディアで伝えられ、最終的には「16」でユニフォームを脱いでいる。立浪監督が借金15に到達したのは6月17日。記者の問いに、
「そんなもん、いちいち気にしてもしょうがない」
この時は気丈に振る舞った。その後、借金は減少傾向にあったが、再び「15」まで膨れ上がったのだ。
また、自力優勝の可能性が消滅した29日、こうも語っていた。
「これだけ借金があれば、そうなります。まだ(ペナントレースは)半分も行っていない。もちろん勝つことも必要ですが、今年は、ある程度、ちょっとは形(上位チームと互角に戦える布陣)にしていかないと」
この試合後の囲み会見で出たコメントを聞く限りでは、途中休養はなさそうだが、その理由はというと、
「ナゴヤドームのネーミングライツ権を持つ医薬品メーカーの興和を始め、球場内に広告を出している複数の企業にも『立浪ファン』が多いと聞いています。ペナントレースの戦況だけでは判断されないはず」(前出・メディア関係者)
山本昌氏(57)、井端弘和氏(48)、山崎武司氏(54)などOBたちの名前も囁かれている。また、「強いドラゴンズが見たい」の意味だろう。任期8年中優勝4回、日本一1回、全てAクラス入りの好成績を残した落合博満氏(69)の復帰を望む声も聞かれた。
フロントに責任はないのか
もちろん、後任指揮官の話は噂の域を出ていない。ただ、「現有戦力では起死回生はない」と見る声は多い。
「投打ともに戦力が足りません。投手陣ではエース・大野雄大(34)が4月に左ヒジにメスを入れ、ようやくキャッチボールを再開したところ。涌井秀章(37)、柳裕也(29)、小笠原慎之介(25)、高橋宏斗(20)らの先発投手が好投していても打線の援護に恵まれず、勝ち星が延びません。ビシエド(34)が右手首の違和感を訴えて離脱しました。正捕手の木下拓哉(31)のケガによる離脱も大きい。野手陣はレギュラーと控えの実力差がありすぎて、主力選手のケガがチーム全体の戦力ダウンに直結しています」(球団関係者)
その選手層の薄さを補う一環もあって、立浪監督は石川昂弥(22)など若手育成も急いでいる。しかし、こちらも故障などが重なって遅々として進んでいない。
チームの戦力補強、編成も敗因だとすれば、今季の低迷はフロントを含めた組織全体の責任だが、中日の場合はそうとも言い切れないのだ。
「立浪監督は昨秋のドラフト会議、トレード、外国人選手の獲得など全ての補強策に口を挟みました。ドラフト1位にピッチャーの仲地礼亜(22=沖縄大)を選んだのは立浪監督、チーム最多本塁打数を放った阿部寿樹(33)の放出につながった涌井獲得のトレード、新外国人選手のアキーノ(29)を見つけてきたのも立浪監督です」(前出・同)
外国人選手の獲得だが、立浪監督は自ら現地入りし、ドミニカ共和国で開催されたウィンターリーグを視察した。そこで見出したのがメジャー通算41発のアリスティデス・アキーノ( 前レッズ)。しかし、打率1割台で5月1日に登録を抹消されたきりだ。
「ファーム戦で2本のホームランを打ちましたが、打率は2割7厘(7月1日時点)。ドミニカから帰国直後、立浪監督は第一希望は巨人と契約したブリンソン(29)だったとこぼしていましたが。本命獲得に失敗したのはお金、つまり、フロントの責任もあったようです」(球界関係者)
立浪監督が現地入りした昨年11月は「円高」で、1ドルが150円台だった。交渉相手の新外国人選手に「1億円強の1ミリオンダラー」の年俸を提示するにしても、一昨年オフは「1ドル=120円台」だったため、球団は約3000万円も余計に支払う危険性があった。球団にも選手総年俸の予算案があり、円安による差額分を出せるかどうかでモメているうちに“本命”に逃げられたのだろう。
選手名鑑によれば、巨人・ブリンソンの推定年俸は1億3000万円。アキーノは1億6800万円となっている。ブリンソンは打率2割3分6厘、本塁打6、打点23(7月2日時点)。たとえブリンソンをを獲得できていたとしても、チーム打率2割3分6厘(リーグ5位)、リーグワーストの総本塁打31、総得点198は変わらないと思うが、国内トレードの日本人選手を見る眼は確かなようである。
[1/2ページ]