再逮捕迫る「市川猿之助」 専門家が供述内容から読み解いた「動機の真相」と「犯行時の精神状態」
当時の精神状態に注目
碓井氏が続ける。
「日本の場合、家族を巻き込んだ心中事件における動機の多くは“愛”や“同情心”に端を発するものです。“自分が死んだ後に子供につらい思いをさせたくない”や“病気で苦しむ家族を楽にさせてあげたい”など、第三者から見れば身勝手と映るだけですが、心中を決意した当事者は“残された道はそれしかない”との思考に囚われてしまう」
ただし今回の事件では「家族会議の結果」で心中が決まったとされ、碓井氏もこの点に関して「本当に家族でどこまで話し合いが行われたのかについては検証が必要」と話す。
「心中の理由について不可解な点があるのは事実ですが、仮に当時、猿之助さんがうつ的な精神状態に陥っていたとすれば、話は違ってきます。うつ状態の人は、客観的には致命的な事態と見えなくても“もうだめだ”と悲観してしまう傾向がある。実際、本当はお金があるのに“ない”と思い込むなど、傍から見れば“大したことない”と思えることでも、当事者が一方的に思い詰めて事件へと発展するケースは存在します」
現時点で、猿之助容疑者が「うつ状態」にあったかどうかは不明だが、記事が出ることで精神的に追い込まれた猿之助容疑者が「話し合いを主導する」形となった可能性も否定できないという。
「悔やまれるのは、普段からSOSや相談できる相手が身近にいれば、今回のような重大な結果には至らなかったと考えられる点です。両親の死や証拠の存在の有無などから、刑事事件としてこれ以上の動機の解明が難しいとしても、“なぜ、このような悲劇が起きたのか?”の究明は今後も続けられるべきです」(碓井氏)
舞台が公判に移っても、その取り組みは続くと見られている。
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