巨人の宿舎が危うく焼き討ちに…長嶋茂雄邸も狙われた! 暴走したファンが引き起こした“恐怖の事件簿”
「ダイナマイトの爆弾を16発持っている」
6月9日、オリックスの投手・本田仁海は殺害予告が届いたことをSNSで明らかにした。2021年11月には中日・福敬登が「打たれた試合は、おびただしい数の殺害予告が来る」と警察に被害届を出し、今年3月にもDeNA・エスコバーが「あなたの家族全員が交通事故で死ぬだろう」などの誹謗中傷に対する怒りを訴えている。そして、SNSやツイッターがなかった時代にも、心ないファンから脅迫を受けた選手たちが存在した。【久保田龍雄/ライター】
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巨人の王貞治、長嶋茂雄を標的にした爆弾テロの脅迫状が関係者に大きな衝撃を与えたのが、1963年8月、中日球場(現在のナゴヤ球場)で首位・巨人と2位・中日の首位攻防戦(24~26日)が開催される直前だった。
週刊ベースボール9月9日号によれば、「巨人は審判と組んで横暴なことをやっている。オレはダイナマイトの爆弾を16発持っている。手始めに今をときめく王と長嶋をやっつけてやる」という意味の脅迫状が中日新聞社に届いたという。
このため、愛知県警中川署は、中日球団、鈴木龍二セ・リーグ会長と入念に警備計画を打ち合わせ、爆弾テロ防止に全力を挙げた。
試合当日は中日球場の内外に警官150人を動員。また、試合が終わる直前、球場内に配置された警官たちが場外に移動すると、警戒が緩んだ隙に事故が起きやすいことから、場内の警官たちは最後まで退場しないと決められた。
ガソリン入りの牛乳瓶
そんな水も漏らさぬ警戒体制の甲斐あって、球場では3日間何事も起きなかった。
ところが、降雨のため6回コールドゲームとなった8月25日午後9時半ごろ、試合を終えた巨人ナインが名古屋市中区にある宿舎の旅館に滞在しているタイミングを見計らうようにして、旅館のすぐ近くに設置されていたゴミ箱が突然火を噴いた。
ゴミ箱にはガソリン入りの牛乳瓶が投棄されており、明らかに宿舎の焼き打ちを狙った放火事件だったが、幸い発見が早く大事には至らなかった。
ONはじめ選手たちには、精神的影響を考慮して事件のことは伏せられていたとあって、「そんなことはちっとも知らなかった」とあとになって驚いていた。ちなみに当時の中日球場の中日ファンは、番記者たちの間で「日本一過激」と評されていたという。
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