小学生が4時起き激務…近鉄の“ガチすぎる”駅長体験の狙いは

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収益面ではプラスにならない

 この体験ツアーが激務だと思われる理由は、宿泊を伴うという部分だけではない。大和上市駅は、トンネルと橋梁の間に立地し、ホームが1つの単線駅。2022年における一日の平均乗降人員が349人。乗降客数は決して多いわけではないので、駅業務を忙しく感じることはないかもしれない。

 しかし、「夏場には津風呂湖や大台ケ原、吉野川でキャンプを楽しまれる利用者でにぎわいます」と近鉄広報部担当者が説明するように、体験ツアーが実施予定日の7月29日から30日と8月19日から20日は同駅の繁忙期にあたる。

 そんな激務の駅業務を体験するツアーだが、旅行代金は大人一人1万円、体験する子供1名3万円、ツアーに同伴するが体験しない子供は一人5000円。

 同ツアーはプレミアムな体験ができることが評判になって、申し込み開始とともに両日とも1日1組限定の枠に30組以上の申し込みがあったという。そのため、キャンセル待ちも含めて申し込みは即日終了した。

「夏休みでの実施として計画しましたので回数は限定されてますが、同体験ツアーを継続していければと考えております」と近鉄広報部の担当者も望外の反響に驚きを隠せないが、他方で「今回の体験ツアーは1日1組限定の募集なので収益面を考えればプラスになりません。あくまでも鉄道体験を通じて、鉄道業に興味を持ってもらうことが目的です」とも話す。

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