小学生が4時起き激務…近鉄の“ガチすぎる”駅長体験の狙いは

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異例の体験ツアーの意図を近鉄に尋ねると

 近鉄が売り出したツアーは名称だけを見ると、これまで鉄道各社が発売してきた駅業務を2日間にわたって体験する内容と思えるだろう。しかし、近鉄が発表した体験ツアーは1回目の実施日が7月29日から30日で、2回目の実施日が8月19日から20日。

 体験ツアーは連続した2日間で実施されるわけだが、注目すべきは近鉄が発表したスケジュールにある。その行程は小学生が気軽に参加したいと親にせがむような内容になっていない。

 まずスタートが近鉄吉野線の下市口駅に15時30分に集合。そこから改札・業務機器の説明・解放作業見学・給水・列車監視・清掃といった駅業務全般を体験していく。

 かなり多くの業務を体験するが、ここまでの体験プログラムだったらさほど驚くことはない。近鉄の体験ツアーが従来と異なるのは、終業・始業点検という業務が盛り込まれている点にある。終業・始業の駅業務を体験するには、駅に宿直しなければいけないからだ。つまり、駅に宿泊することまでを含んだツアーになっているのだ。

 体験ツアーの参加者が18歳以上の成人ならまだ驚かない。近鉄は小学4年生から6年生までを対象としたツアーと発表している。同ツアーは保護者も同伴できることになっているが、それでもかなり異例な体験ツアーといえるだろう。どんな経緯から発案されたのだろうか?

「今回のツアーは企画担当者が、新聞に掲載されていた『こどもの頃みていた駅員さんの姿、終電を見送って、仮眠室で一人寝るのを想像し、楽しそう、自分も駅員になりたいと思った』という記事を読み、実現できないかと考えて企画しました。ツアーでは駅業務、駅舎での仮眠体験を通じて、鉄道業に愛着を持っていただきたいと考えています。体力面を考慮して、参加資格は小学4年生から6年生に限定させていただきました」

 と説明するのは、近鉄広報部の担当者だ。小学4年生から6年生に限定しているとはいえ、終業・始業点検をこなすことを考慮すると、24時まで起きていなければならず、朝も4時には起床しなければならない。小学生高学年には短い睡眠時間であることは明白で、かなりの激務と想像できる。

 そんな体験ツアーをリリースした近鉄は、大阪府・京都府・奈良県・三重県・愛知県の2府3県に路線を有する、国内最大の私鉄としても知られる。近鉄の路線は総延長が約501.1キロメートルにも及ぶ。当然ながら総駅数も286と日本一だ。数多くの駅がある中で、なぜ大和上市駅を宿泊駅に決めたのだろうか?

「大和上市駅は巡回対応駅となり、現在は係員が常駐していません。しかし、係員を配置していた当時は複数名が仮眠しており、仮眠室も2部屋ありました。当時の設備は、現在も残っています。また、駅の外観など風情を一番感じる駅という理由もあります」(同)

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