猿之助事件のカギを握る母と子の愛憎劇 「未成年強制性交」の捜査はどうなる？
発生からひと月余り。警視庁が母親への自殺ほう助の容疑で歌舞伎俳優の市川猿之助（47）を逮捕して新たな局面に突入した、梨園の名門「澤瀉（おもだか）屋」の一家心中騒動。寝たきりの父・市川段四郎（76）への殺人容疑もささやかれる中、見えてきたのは母と猿之助の愛憎相半ばする歪な親子関係だった。
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【写真10枚】29年前、慶應大1年生だった猿之助。やはり現在とは雰囲気が全く違う
〈私たち親子は仏教の天台宗の敬虔（けいけん）な信徒で、死に対する恐怖はありません。自殺が悪いことだとは考えていません。私たちは輪廻転生を信じています。生まれ変わりはある、と本気で考えています〉
5月18日の午前10時過ぎ、東京・目黒区の自宅で、猿之助と両親が倒れているのが見つかった名門「澤瀉屋」の“一家心中”事件。病院に搬送直後、捜査員に独特の死生観を語っていた猿之助だったが、生き残った彼に突き付けられたのは、自らの名に“被疑者”という文字が冠された一枚の令状だった。
6月27日早朝、警視庁捜査1課は、母親である喜熨斗（きのし）延子さん（75）への自殺ほう助の疑いで猿之助の逮捕状を請求。同日、都内の精神科病院に入院していた猿之助の身柄を拘束した。
猿之助の供述
事件の発端となったのは5月18日に発売された「女性セブン」の記事だった。猿之助が男性の役者やスタッフを相手にパワハラや性加害に及んでいた事実が詳細に記されたこの記事。発売の3日前、「女性セブン」の直撃を受けた猿之助は「答える義務はありません」とけんもほろろに取材を拒否したというが、この時点で一門の歯車は最悪の結末へと動き出していたのだ。
猿之助は事件後、警視庁の捜査員に対して、事件当夜のことをこう述べている。
〈午後4時半から家族での話し合いを始めました。結論が出たのは午後8時のことでした〉
〈こんなことを書かれたら、もう生きていても意味がない。家族みんなで死のう、ということになりました〉
社会部記者が解説する。
「猿之助の供述によれば、心中の結論に至った一家は、猿之助が病院から処方されため込んでいた『フルニトラゼパム（商品名・サイレース）』を服用。『女性セブン』の発売日でもあった翌日、舞台を控えていた猿之助の様子を見に自宅を訪れたマネージャーが、2階リビングで布団をかけられた状態で倒れている父親の段四郎と母親の延子さんを、半地下にあるクローゼットでぐったりしていた猿之助をそれぞれ発見したのです」
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