「カムカム」超えも…「らんまん」の視聴率がぐんぐん上昇した3つの理由

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 NHKの朝ドラ「らんまん」が盛り返している。4月3日放送の初回視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)は16・1%で、前作「舞いあがれ!」を下回った。その後も14~15%台をウロウロしていたが、6月に入ると17%台へと跳ね上がったのだ。一方、この快進撃に反して、なんだか憂鬱な顔をしている朝ドラ好きの人気女子アナもいて……。

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 民放プロデューサーは言う。

「当初はNHKのスタッフも頭を抱えていたと思います。前作『舞いあがれ!』の初回視聴率は16・3%で、平均視聴率も15・6%と、朝ドラが8時スタートになった2010年以降では最低の数字でした。それをさらに0・2ポイント下回る数字で、『らんまん』はスタートを切ったのです」

 ちなみに、8時15分スタート時代の朝ドラを含めても、「らんまん」の初回視聴率は歴代ワースト4位タイである。

「それどころか、初週で16%台となったのは初回のみ。翌日からは15%台前半で、初週平均は15・4%まで落ち込みました。その後も、北朝鮮のミサイル発射(4月13日)でJアラートが発令されたために放送が中止されたり、ひさびさの外出制限がないゴールデンウィークを挟んだため、5月3日には13・6%まで落ち込みました。NHKのスタッフは相当困っていたと思いますよ」

 ところが今、視聴率は右肩上がりというのだ。

「カムカム」を上回る可能性も

「5月8日には初回を上回る16・6%を記録しました。同じ週の11日には17・5%に跳ね上がり、その後もほぼ16%台をキープ。6月に入っても好調で、16日には17・9%と単日最高を更新し、22日にも再び17・9%に。先週(19~23日)は月曜以外が全て17%台となり、週平均はこれまで最高の17・3%。この調子でいけば、歴代最低の汚名を免れるどころか、近年では傑作と言われた『カムカムエヴリバディ』(2021年後期)の平均16・4%を上回る可能性もあります」

 一体、何があったのだろう。

「まず脚本がいいですね。初回放送後の『あさイチ』の朝ドラ受けで、博多大吉が『イヤ~な終わり方でしたね』とコメントしたのに象徴されますが、初週はなんだかジメジメした暗い雰囲気でした。朝ドラの王道は“明るく、元気に、前向きに”です。朝ドラの金字塔『おしん』は別格として、『あまちゃん』はじめ『なつぞら』も『あさが来た』も、この単純明快な路線で高視聴率を獲得しました。通勤や通学前のサラリーマンや学生、そして主婦だって、一日の始まりに暗くて憂鬱なドラマなど見たくありません。元気をもらいたいのです」

「らんまん」の脚本・長田育恵さんは、メジャーなドラマはこれが初めてと言っていい。

「小説家で劇作家の井上ひさしさんの弟子をしていたため、これまでは舞台作品が数多く、文化庁芸術祭賞の演劇部門新人賞をはじめ、鶴屋南北戯曲賞、紀伊國屋演劇賞を受賞するなど高評価を得ていました。『らんまん』では最初こそ戸惑いがあったかもしれませんが、最近は王道路線をいっていると思います」

 ドラマの舞台が東京になったことも視聴率アップに関係するという。

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