閉経後も女性ホルモンを代替、前立腺がん予防など! 明らかになった大豆の「奇跡の健康効果」

ドクター新潮 ライフ

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骨密度は低いのに骨折率は低い?

 皆さん、「ジャパニーズ・パラドックス」という現象をご存じでしょうか。

 骨粗鬆症患者の80%以上は女性であり、その主な原因は閉経後の女性ホルモンの低下です。そして欧米に比べると乳製品の摂取量が少ない日本人はカルシウムが不足しがちで、実際、欧米人女性に比べて日本人女性の骨密度は低く、骨が脆(もろ)い。なお、骨粗鬆症は大腿骨頸部骨折を招きやすく、寝たきりの大きな原因となります。

 ところが、骨密度は低いのに日本人の骨折率は欧米人よりも低いことが分かっています。骨は脆いのに骨折しないとはこれいかに――。これがジャパニーズ・パラドックスと呼ばれる矛盾です。

 畳に正座する日本人は足腰が鍛えられているからではないか、いや和式便所を使う際の屈んで立つ運動が効いているのではないか。ジャパニーズ・パラドックスの謎解きとして、これまでこうした説明がなされてきましたが、生活様式が欧米化している現在、どちらもあまり説得力があるとは感じられません。

前立腺がん予防にも

 そこで信憑性の高い説として登場したのがイソフラボン説です。閉経後、女性ホルモンの分泌が激減した分を、女性ホルモン様活性を発揮するゲニステインが補ってくれるために、大豆を多く摂取する日本人女性は骨折を避けられているのではないかと考えられるのです。

 また目下、日本人男性のがん患者の中で最も多いのは前立腺がんですが、前立腺がんの原因は、加齢とともに男性の体の中でも女性ホルモンが減少して男性ホルモンの比率が高まることとされています。したがって、ゲニステインを多く含んだ大豆製品を摂取することによって、女性の骨粗鬆症同様、男性の前立腺がん予防にも役立つと考えられています。

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