閉経後も女性ホルモンを代替、前立腺がん予防など! 明らかになった大豆の「奇跡の健康効果」
「肉以上に肉らしい」
まずは「タンパク質の含有量」です。
大豆が「畑の肉」と呼ばれるゆえんですが、乾燥大豆100グラム中のタンパク質含有量は実に33グラム(33%)。これは驚くべき数値です。一般にタンパク質を豊富に含んでいるというイメージの強い動物性食品を見てみても、牛乳は3.3%、卵は12.3%、牛肉でも12.9%。大豆は「畑の肉」どころか、「肉以上に肉らしい」食材とすらいえるのです。
しかも「量」だけではありません。「質」においても、大豆のタンパク質は優れています。
タンパク質を形成するアミノ酸の中で、食品から摂取する必要のある9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。この必須アミノ酸をバランス良く含むタンパク質こそが良質のタンパク質であるわけですが、その質の良し悪しは「アミノ酸スコア」で測ることができます。アミノ酸スコアが満点である100のタンパク質は、九つの必須アミノ酸がバランス良く含まれた良質のものであり、スコアが下がるほどタンパク質の質も低くなっていきます。
多くの植物性タンパク質は、必須アミノ酸の中のリジンの量が低いためアミノ酸スコアが下がります。例えば、小麦タンパク質のアミノ酸スコアは37。動物性タンパク質である乳タンパク質、鶏卵タンパク質のアミノ酸スコアが100であるのに比べるとかなりの低値です。
高齢者でも効率よくタンパク質を摂取可能
ところが、大豆タンパク質は植物性タンパク質でありながらアミノ酸スコアが100です。植物性タンパク質の中では唯一、動物性タンパク質と肩を並べることができる食材と言ってもいいほど、大豆タンパク質は「質」も優れています。
とりわけ高齢者において、筋肉量の低下は健康寿命の終焉(しゅうえん)につながりかねません。足腰が弱って転倒し、骨折して寝たきりになってしまう。2週間ベッドに横になっていると、普通の人が加齢に伴って失う筋肉量の1年分を失うともいわれています。したがって、「筋肉の元」となるタンパク質を取ることがまさに死活的に重要なわけです。
しかし、高齢者は歯の具合が悪くなるなどして、次第に肉を食べられなくなる傾向にあります。その点、大豆製品はそれほど固くなく食べやすい。高齢者にとって、これほど効率良く良質なタンパク質を取れる食材はないといえるでしょう。
大豆のすごさの2点目は「イソフラボン」です。
大豆は高タンパク質であるとともに、機能性成分としてイソフラボンを多く含んでいます。その中でも「ゲニステイン」という種類のイソフラボンが豊富なのですが、このゲニステインは、体内で女性ホルモンとして働く「βエストラジオール」と非常に構造が似ています。実際、ゲニステインは女性ホルモンに近い活性を示します。
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