ふたりの振る舞いからは“歪な夫婦像”が… 広末涼子・キャンドル氏“本当の関係”と今後を読み解く
今後ふたりはどうなるのか
記者会見で、ジュン氏は「家族を守る」という「正義」を振りかざしていた。従来の「男らしさ」にとらわれているとよくわかる。妻の過去を平気で暴いたり、「濃い化粧をして派手な服を着て夜中に出かけていくのは、正常ではない」と言ったり。妻といえどもひとりの大人の女性である。会見の最初に妻を擁護するような発言をしておきながら、会見が進むにつれて、「妻の異常さ」を語る夫はとにもかくにも不快だった。
さらに彼自身の浮気疑惑においては、相手に「オレの女に手を出すな」と言ったとされている(本人は暴行は認めているが浮気は否定)。「オレの女、ねえ」と多くの女性たちは苦笑したのではないだろうか。そこに彼の女性観や恋愛観がにじみ出ているのではないか。
結婚して13年、広末も夫からのある種の抑圧やモラハラをずっと感じてきたのではないだろうか。そもそも知り合って短期間で結婚したのだから、理解するより先に「日常生活の煩雑さと忙しさ」にまぎれたまま夫婦関係が進んでいったはず。
そして子どもたちが大きくなったときには、すれ違いは亀裂となり、その亀裂が思いのほか大きくなっていたというベースがあったのではないだろうか。彼女は以前から、すでに夫を必要とはしていなかったのかもしれない。「平和を語る」ジュン氏は、彼女に心の平安を与えてはくれなかった。自分の夢だけを希求していたのかもしれない。そんなふうに思っているところに「実業家」である鳥羽周作シェフが現れた。「今の自分が必要としている人」は彼だったのだ、と彼女が「運命」を感じたとしても不思議はない。
人間はなまものであり、夫婦の関係もなまもの。そのままにしておいたら賞味期限が来てしまう。その前に関係を見直したり、ふたりの心を覗きあったりする作業が必要なのではないだろうか。
広末とジュン氏がこの先、どういう結論を出すのかはわからないが、ここからの修復はそう簡単にはいかないだろう。すでにジュン氏は「心が折れて、ひとりで家を出た」らしいので、しばらくはこのままで、そのうち離婚という方向に向かうのではないだろうか。
自覚なき「モラハラ」夫の例
一般的にもこういった話はときどき聞く。わたしが取材した陽太さん(45歳・仮名=以下同)は、昨年、14年連れ添った葵さん(42歳)と離婚した。12歳の娘は、本人の希望もあって妻が引き取った。
「僕にとっては青天の霹靂のような妻からの離婚宣言でした。家族は心から大事に思っていたし、実際、1泊の予定の出張でも仕事を早く終わらせて帰宅するなど気を配ってきた。だけど妻は、いつしか僕をうっとうしいと感じていたそうです」
陽太さんには自覚がなかったのだ。なにげない言葉や表情が、妻へのモラハラになっていることを。
「妻はものすごくオープンで朗らかな性格なんです。父親の仕事の関係で海外に長く住んでいたこともあって、友だちに会うとすぐハグする。外資系の会社に勤めていて、ときどきパーティなどもあり、僕も一緒に行ったことがありますが、そんな中でも妻は人一倍、輝いていた。それを見て僕は気が引けていたし、嫉妬もあったのかもしれません」
帰宅すると、「どうしてあの男とハグしたんだ」「男と話すときの距離が近すぎる」など不平をぶちまけたこともある。妻は「友だちだからハグした」「周りがうるさかったから、自然と顔が近づいた」と言い訳としてではなく、きちんと状況を説明してくれたのだが、彼は聞く耳を持たなかったという。
「娘に対しては、ものすごく寛大ないい母親。でも僕は、常に彼女との心の距離が近くならないような不安を抱いていました。妻に言わせれば、『私に隠し事はないけど、私のすべての友人関係をあなたに話す義務もないと思う』とよく言っていた」
それはおそらく、話せば陽太さんが「どういう関係なんだ」とか「妻としてそれはいいのか」などの抑圧的な発言をすることがわかっていたからだろう。
「いきなり離婚してと言ったあと、妻は『好きな人がいるの。再婚するつもりはないけど、あなたとはもうやっていけない』とはっきり言いました。僕の何がいけなかったのかと聞いたら、『あなたと私は違うものを見ていたのよ』と意味深なことを口にした。あれからずっと、自分たち夫婦は何だったんだろうと考えていますが、わかりません。共働きでがんばって娘を育ててきたのに、どうしてこんなふうに裏切られなければいけないのか……」
もしかしたら、ジュン氏も同じような気持ちでいるのかもしれない。陽太さんもジュン氏も、自分なりに妻を庇い、家族を守り、一生懸命 、家庭でがんばってきた思い はあるのだろうから。ただ、それが「妻」の気持ちに添ったものだったかどうかはわからない。夫として「何か」が足りなかった、あるいは過剰だったのかもしれない。
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