今季4勝だが、昔とは何かが違う……それでも田中将大は来季、メジャーに復帰するかもしれない根拠
FAになれば手頃な価格に?
「田中は『2年18億円』で楽天に復帰しました。推定年俸9億円はNPB史上最高額です。でも2年間で13勝21敗という成績で、4億7500万円プラス出来高の単年契約で更新されました」(球団関係者)
同一球団でのダウン額としては、4億5000万円だった16年の杉内俊哉(42=現コーチ)に次ぐ、NPB史上2番目に大きい下げ幅だった。田中は特に反論もせず、球団の提示額を受け入れたが、この一報を知った米国の野球メディアがざわついた。
「衝撃的なマイナスだと言わざるを得ない。たしかに負け越しているが、細かなスタッツを見れば、彼にはいまだに堅実性があるのは明白だ。来季は35歳となるが、フリーエージェントになれば、他の投手よりも手頃な価格で購入できる可能性が高くなった」
これは、米野球専門メディア「Call To The Pen」が楽天との契約更改が交わされた翌日に報じたもの。楽天球団だけでなく、NPB全体の査定方法に疑問を呈し、「フリーエージェントになれば、お手頃価格で契約できる」とメジャー復帰の可能性も伝えていた。
米メディアが楽天の査定に驚いた理由は、MLBとはプラスポイントが異なるからだ。日本では勝敗、防御率に眼が向いてしまう。もちろん、それがプラス要素の全てではないが、MLBでは先発投手のイニング数や「WHIP」や「FIP」を重視する。
WHIPとは、1イニング当たりの「与四球+被安打数」、FIPは「被本塁打、与四死球と奪三振のみを用いた評価指数」のこと。データ解析が進むMLBでは勝ち星や防御率よりもWHIPとFIPで投手を評価するのである。
「先発投手では、6回を3失点以内に抑えるクオリティ・スタート(以下=QS)ができているか、シーズンを通して先発ローテーションを守ったかどうかもプラスポイントです」(米国人ライター)
田中の22年シーズンのWHIPは1.16、FIPが3.46。MLBであれば、「制球力が高く、優秀な先発投手」と判断されていたわけだ。だが、田中は楽天球団の提示額に納得してサインしたので、ということはNPBのやり方も理解しており、6月14日の広島戦ではチームの勝利には結びつかなかったが、責任イニングを投げきり、QSもつけたと捉えていたわけだ。
「もし、メジャーリーグに再挑戦したら、ヤンキースに移籍した14年のようなエース級の契約ではなく、ローテーション入りを狙うといった立ち位置になると思います。MLBチームでも大都市球団と地方のローカルチームでは野球環境、年俸、観客数などで雲泥の差があります。その条件に田中自身が納得できるのかどうか」(前出・同)
田中の東北愛、チーム愛の強さを口にする関係者も多い。日米通算200勝まで「あと6勝」、今季中の達成が見込まれるが、イーグルスのクリムゾンレッドのユニフォームを着ての粘投が続きそうだ。