今季4勝だが、昔とは何かが違う……それでも田中将大は来季、メジャーに復帰するかもしれない根拠

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100球を目途に交代

 また、前回登板の6月14日の広島戦でのことだ(交流戦)。先発・田中は6回を投げきったところで交代となったが、4回以外は走者を背負う苦しいピッチングだった。

「岡島豪郎(33)のソロアーチで先制したんですが、その直後に田中は逆転を許してしまいました」(ベテラン担当記者)

 気になったのは、その6回裏の広島の攻撃を終えた後。田中は淡々とベンチに戻り、そのまま控え室へと歩を進めた。石井一久監督(49)は7回表の自軍の攻撃を見守り、攻守交代となって球審のほうに向かう。「ピッチャー、交代」を告げたわけだが、田中が6回のマウンドを終えた後、直接の会話がなかったのである。

「100球を目途に交代することで、申し合わせが出来ているみたいです」(前出・同)

 そう言われてみれば、同試合を含めた田中の登板はほぼ100球メドで収まっている。26日のソフトバンク戦も99球で後続にマウンドを譲っている。「100球メド」の例外は1回だけ、5月12日の埼玉西武戦で4失点したときの52球で、全11登板中10回は80球台から100球を超えるか超えないかのあたりで収まっており、イニングの途中での降板となったのも1回だけだった(4月21日・日本ハム戦)。

 信頼関係が構築されているとも言えるが、これが「物足りない」と見える原因でもあるようだ。往年の田中は無尽蔵のスタミナで「イニング数、投球数は関係ない!」と言わんばかりの猛々しいピッチングだった。当の田中だが、試合後にはこうコメントしている。

「先頭ランナーを出しすぎてピッチングが苦しくなった。もうひと踏ん張りと意識した。粘り強く、我慢強くいけた」(6月14日)

 このコメントで興味深いのは、6回被安打8、2失点のピッチング内容に関する自己評価だ。26日のソフトバンク戦同様、走者を背負う場面も多かったが、本人は「粘り強く好投できた」と“合格点”をつけていた。

「今の田中のピッチングは『粘り強く』といった表現がピッタリです。低目を丁寧に攻めている感じですが、走者を背負う場面も多くなりました。そうした場面で対戦バッターとの駆け引きで負けたときは失点に結びついています。でも、失点もあるものの、5回から7回を投げ3、4点にまとめている。大崩れはしない、いわばオトナのピッチングです」(地元メディア関係者)

 オトナのピッチング。玄人ウケの投球スタイルとも言えそうだが、それを理解できるファン、関係者はどれだけいるのか……。そのファン心理との隔たりを物語るエピソードもあった。今年1月7日の契約更改のときだった。

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