今季4勝だが、昔とは何かが違う……それでも田中将大は来季、メジャーに復帰するかもしれない根拠

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勝負所で冴えるスプリット

 東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大(34)が6月26日の福岡ソフトバンク戦に先発し、勝利投手になった。7回を投げ、被安打5、失点1。奪三振数は「3」と少なかったが、数字上ではナイスピッチングである。

「チームが苦しい中、自分もなかなか勝てない中で、この流れを変えるのは自分しかいないと思って、マウンドに立ちました。バックの守りにも助けられ、緊張感のある試合ができました。本当に感謝しています」

 試合後の勝利投手インタビューでそう答えていた。しかし、「何か」が違うのだ。

 この日の勝利が日米通算194勝だったことは既報通り。その194勝目を入れて、今季の成績は4勝4敗、防御率3.84。日本球界に復帰した21年は23試合に登板して4勝9敗、22年は9勝12敗。「黒星先行」状態にあり、メジャーリーグに挑戦する直前の13年シーズンのような“力でねじ伏せるエネルギッシュな投球”は見られなくなった。

「年齢的な衰えは仕方ありませんが、26日の田中は左打者の内角にも変化球を投げ込み、勝負所ではスプリットで打ち損じを誘っていました。素晴らしい投球術でした」(野球解説者)

 年齢とともに投球テクニックは上がっているが、現在の技巧派ピッチングには賛否両論があるようだ。

 イーグルスの地元・仙台のファンは常に好意的だが、24連勝も記録し、日本一にも輝いた2013年のような力でねじ伏せるピッチングも見たいと思っているのではないだろうか。

「5回、先頭バッターの柳田悠岐(34)にセンターバックスクリーンに飛び込むホームランを献上しました。この試合で田中が唯一、力勝負に出た場面です」(前出・同)

 この時点でのスコアは2対0で楽天リード。先頭バッターであり、「仮に一発を食らっても致命傷にはならない」という計算が田中のなかにあったのかもしれない。

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