中国はバブル崩壊が進み、経済不振が長期化する理由
今年のネット通販「618商戦」も盛り上がらず
ゼロコロナ政策解除後の中国の景気回復は、サービスを中心とする個人消費が牽引してきたが、その勢いが失われつつある。
6月中旬に行われた恒例のネット通販セール「618商戦」では、電子商取引(EC)サイト各社が大幅な値引きを実施したにもかかわらず、消費者の節約志向のせいで盛り上がりに欠ける結果に終わった。
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端午節連休(6月22日から24日)の国内旅行支出も、新型コロナのパンデミック前の2019年に比べて5.1%の減少となった。さらに、6月の乗用車販売台数も前年比5.9%減となる見通しだ。
個人消費が低迷し始めている要因は、不動産市場の悪化にある。住宅が売れないと付随するモノやサービスの消費も伸びないからだ。
住宅市場は今年2月から3月にかけて回復基調にあった。しかし、4月に入ると早くも息切れし、4月の主要50都市の新築取引面積は前月に比べて25%減少。5月も1割落ち込んでいる(6月10日付日本経済新聞)。
不動産市場の悪化のそもそもの原因は「家余り」にある。中国の1家庭当たりの住宅保有数は先進国並みの水準となりつつある(5月22日付日本経済新聞)。
不動産バブルの崩壊が露呈させた“作りすぎ”の問題
気になるのは中国で「不動産神話」が崩壊しつつあることだ。
6月19日付ブルームバーグは「住宅所有者や関係者などへのインタビューから、不動産が常に中国で最も安全な投資先の1つだという信頼が薄れ、景気減速に拍車をかけていることが浮き彫りになった」と報じた。
住宅所有者は「不動産ブームで現金化できる最後の機会だ」と考えており、中国の金融センターである上海の不動産市場でも売り圧力が日に日に強まっているという。
投機的な購入の抑制を目指す政府にとって、こうした意識の変化は歓迎すべきことだが、政府の当初の予想を超えて不動産市場が深刻な不振に陥るリスクが生じつつあるのではないだろうか(不動産バブルの崩壊)。
不動産バブルの崩壊は、中国の過剰生産能力の問題も露呈させている。
世界最大の鉄鋼生産国である中国で、生産抑制の動きが広がっている。不動産投資の低迷で鋼材需要が落ち込み、在庫の余剰感が強まっているからだ。多くの雇用を生む製造業の中核を成す鉄鋼業の不振は、中国経済へのさらなる打撃となるだろう。
不動産バブルの崩壊がもたらす金融システムへの悪影響も心配だ。
30年前の日本と同様、中国でも不良債権問題が長期にわたって経済の重しとなり、大規模な金融危機が勃発する可能性も排除できなくなっている。
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