認知症不明者“10年で倍増” 「警察犬」大活躍も 「近い将来、急激に頭数が減る可能性」

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嘱託警察犬のなり手は減少

 需要が増えているにもかかわらず、警察犬の数は今後減っていくおそれがあるという。

 そもそも警察犬は、直轄犬警察犬と嘱託警察犬の2種類に分かれる。

「警視庁や各道府県警察本部が直接飼育管理し、訓練している警察犬を直轄警察犬と言います。飼育や訓練にお金がかかるので、警視庁を除き、すべての道府県警察本部が直轄警察犬を持っているわけではありません。そのため、普段は一般家庭や訓練士のもとで生活する嘱託警察犬の活用が重要です」

 嘱託警察犬は、警察が実施する審査会で合格することで、一定期間、仕事を嘱託される。いま、問題視されているのは、そのなり手の減少だ。

「たまにトイプードルやチワワなどの小型犬の嘱託警察犬もいますが、基本的にはシェパードやコリーなどの大型犬が適しています。大型犬は飼育するだけでも大変なので、そもそも飼育数が減ってきている。さらに警察犬にするためのトレーニングをするとなれば、訓練所などの費用がかかり、金銭的に余裕がなければできません。たまにドラマや映画の題材になることがあり、その時は『警察犬ブーム』のようになるのですが最近はそういったことも無いですね」

 警察犬協会では、毎年さまざまな審査会や競技会を開いており、全国から嘱託警察犬やそれを目指す犬が集まる。

「今年6月にあった競技会には、全国からおよそ230頭の嘱託警察犬が参加しました。しかし、毎年参加する犬の数は減っており、5年前と比べるとおよそ50頭少ないです。さらに、飼い主の高齢化も深刻で、近い将来には急激に警察犬の数が減ってしまうことを危惧しています」

 その上、嘱託警察犬の仕事は基本的には無報酬だ。

「飼い主や訓練士が社会的使命を持ってやっている人が多いです。警察から、夜中に『これから出動することは可能か』などと急に連絡が来ることもあるそうで、対応するのはかなり大変です。成功報酬もないので、表彰式を行うことは、飼い主や指導手にとってはモチベーション維持に役立つという面もあります。ジャーキーなどおやつをもらえるので、警察犬も嬉しいのではないでしょうか」

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