中止騒動で「水着撮影会」はどう変化? 取り締まり徹底の「稲毛海浜公園」イベントをルポ

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参加者は「武器が隠されちゃった子も」

「#いなプーフォトフェス」が開催された日の千葉の最高気温は30.7度。コンクリートの照り返しもきつい中、多くのカメラマンが自慢のカメラでモデルたちを撮影する。また会場には黒に白字で「Security」と書かれたTシャツを着たセキュリティが20人以上配置され、ルール違反がないか目を光らせていた。

 セキュリティの一人に話を聞くと「トラブルとかはないですね。僕は中止になった近代麻雀水着祭でも仕事をしたことがありますが、みんなおとなしいもんですよ」と笑顔で話した。真っ赤に日焼けした顔からは、カメラマンよりもむしろ太陽の方が難敵だったことがうかがえた。

 出演するタレントたちは埼玉での水着撮影会の中止、そして今回の「#いなプーフォトフェス」をどう感じたのだろうか。

 レースクイーン、グラビアタレントとして活動する佐々木萌香さんは埼玉県で24日に開催予定だったものの中止となった「近代麻雀水着祭」に出演予定だった。

「夏の撮影会は収入の面では一番大きいものなので、経済的な打撃はありました。なので『#いなプーフォトフェス』はちゃんと開催されて本当に助かりました」(佐々木さん)

 以前よりも厳しくなったルールについては「私は今回レースクイーンのコスチュームでの出演でしたし、その分もともと取れるポーズは限られていましたが、ほかの出演者の子はポーズに気を遣っていました。下乳が売りの子は武器が隠されちゃっていましたね。ただ夏の風物詩は消さないでいただいて、安心安全にプール撮影会を開催してほしいです」と語った。

 アイドルグループ「Ange☆Reve」のメンバーで、プール撮影会などグラビアでも活動する安藤笑さんも佐々木さんと同じく24日に出演予定だった「近代麻雀水着祭」が中止となった。

「楽しみにしていたイベントなのに、直前になくなっちゃって。水着も準備していたので、そういうのも含めて残念でした。どうしようもないですけれど」

「#いなプーフォトフェス」については前述のようにこれまでよりもルールが厳格となったが、安藤さん自身は大きく変化を感じなかったという。

「そもそもプール撮影会はこれまでも健全だったと思います。ただ外からの見え方がよくなかった。撮影会を続けるためには信頼の積み重ねが必要。決められたことはしっかりやりながらも、来てくださった方は楽しんでいたので、また中止にならずにプール撮影会が続いていくといいなと思います」(安藤さん)

 一方、埼玉県の水着撮影会の中止をめぐって、グラビアアイドルに対し「性の商品化」「性的搾取されている」などの声もあり、SNSでは直接彼女たちにそうした言葉をぶつける人もいた。撮影会に参加したあるグラビアアイドルはそうした状況に憤りを覚えたという。

「SNSではグラビアアイドルという仕事自体がどうなのかと言われてしまっています。グラビアをやりたくないのにやらされている子がいれば、それはもちろん問題ではあるんですけど、ただ自分からやりたい子の仕事を潰すのは違う。SNSで『死んでも水着写真がネットに残るんだぞ』と言われるんですが、むしろ私は300年ぐらいずっと残ってほしい。私は自分の体が好きでグラビアをやっているので」

公園側の意見は

 県営プールでの撮影会について否定的な声もある中、開催地である稲毛海浜公園側はどう考えていたのか。

 プール撮影会翌日、公園を管理する「中央・美浜公園緑地事務所」に取材すると「プール撮影会は職員がきちんと中に入りチェックしましたが、問題は特になかったと認識しています」と回答した。

 一方で中央・美浜公園緑地事務所によれば、現在、稲毛海浜公園プールを運営管理しているのは千葉市と協定を結び稲毛海浜公園の活性化に取り組んでいるワールドパークという事業者であり、「#いなプーフォトフェス」には直接は関わっていないという。

「今回のプール撮影会の主催者はワールドパークという事業者です。その事業者が若年層に向けてPRする一環としてイベントをやりたいということで、プール撮影会の内容を確認して許可しています。われわれとしても稲毛海浜公園を知ってもらい、プールや海水浴場に多くの方に来ていただきたいと考えている」(中央・美浜公園緑地事務所の担当者)

 また中央・美浜公園緑地事務所の担当者が繰り返したのが、今回の「#いなプーフォトフェス」が“水着撮影会”ではないという点だった。

 実際、今回の撮影会の告知を見ると「PACIFIC RACEQUEEN 夏コスお披露目プール撮影会」というレースクイーンチームとの共催イベントとなっている。確かに撮影会ではレースクイーンのコスチュームなど水着以外を着るタレントの姿があった。

「主催者側の提案として水着以外のものがあったので、われわれとしてその内容であれば許可が出せるとなりました。もちろん稲毛海浜公園にはプールもありますし、海水浴場もありますので、水着になっても良いわけです。ただ今回の撮影会はそれだけではないとは強調しておきたい」(中央・美浜公園緑地事務所の担当者)

 稲毛海浜公園プールでの撮影会でトラブルが起これば、各地の県営プールでの撮影会開催自体が難しくなる可能性もあった中、主催者側の厳格なルール設定などの努力もあり、大きな問題はなく終了した。撮影会自体は表現の自由の範囲内であり、少なくともこの撮影会を問題視し、プールでの撮影会を中止させようとするのは難しいように感じた。

 取材した中央・美浜公園緑地事務所には今後のプール撮影会開催については明言を避けたものの、取材した26日時点で、プール撮影会について「特段クレームなどは届いていない」とのことだった。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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