一般社会と芸能界の境界で…謎の空振り芸人・青木さやかの正体
後ろ向きな性格を生かし、近年は文筆業でも高い評価
2023年2月、青木さやかの著書『母が嫌いだったわたしが母になった』(KADOKAWA)が発売された。シングルマザーとして働きながら娘を育あてている彼女が、自身の母親との関係を振り返りながら、親子のあるべき関係性について改めて掘り下げる内容となっている。
【写真を見る】「センス半端ない」「憧れる」と話題を呼んだ青木さやかの自宅
青木さやかという人間の一般的な肩書は「芸人」ということになっているが、近年では文筆業でも高く評価されていて、その方面での活動も多い。2021年には『母』(中央公論新社)、2022年には『厄介なオンナ』(大和書房)が刊行された。『母』では実の母親との長年にわたる確執を赤裸々に描き、『厄介なオンナ』では繊細すぎて生きづらい自分自身の特性に目を向けている。
何事にも考えすぎてしまい、後ろ向きになりがちな彼女の性格が、文筆業ではポジティブな形で生かされ、高い評価を受けている。
青木さやかは女性ピン芸人として世に出てきて、「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」などのネタ番組に出演していた。当時の彼女は、少し毒のある1人コントを演じていたのだが、ネタの質が本人のキャラに合っていない感じがあった。少し背伸びをしているような印象がぬぐえず、シュールなネタや過激なネタに対する彼女の強い憧れだけが伝わってきた。
その後、青木は、ある時期から急速に仕事が増え始めた。そのきっかけに関しては、彼女の自伝本『34 だから、私は、結局すごくしあわせに思ったんだ』(光文社)にも詳しい。
当時、青木を担当していたマネージャーが、彼女の「どこ見てんのよ!」というギャグの効果的な使い方や使うタイミングなどを細かくレクチャーした。青木がそれをなぞって収録に臨んだところ、作戦がことごとく成功して爆笑の渦を巻き起こした。こうして、共演する女子アナやアイドルに強気に食ってかかる青木の芸風が確立された。
[1/2ページ]