リニア嫌いの川勝知事は“ご乱心” 「誤った珍説を披露するのはどうか」「風説の流布」「反省してないってことですよね」「そろそろ無理筋と気付いたら」会見で記者から前代未聞の集中砲火

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「そろそろ無理筋」

 普通に考えれば、この4点は認めざるを得ないのだが、知事は「それは違います」と即座に否定した。

「山梨の水、静岡の水」という議論はしないが、静岡県の水が山梨県側に引っ張られるのは地質学的に事実なのだと主張した。何のことはない、議論ははるか前に戻ってしまったのだ。まるで“サイフォン理論”が復活したかのようだった。

 たまらず記者が「その理屈なら、山梨県側の地下水を静岡県が引っ張ってしまっている可能性も存在することになる」と言うが、知事は「屁理屈ですよね」と一蹴した。

 かなりの関係者が「屁理屈を言っているのは知事だろう」と心の中でツッコんだに違いない。実際、記者も「知事の理屈は多分、誰よりも通っていないと思います」と真っ向から批判した。

 まさに“諫言”だったが、知事は「ははっ、わかりました。反省します」と軽薄に流した。最後に記者は「そろそろ無理筋だってこと気づいたほうがいいと思いますよ」と異例の忠告を行ったが、知事から直接の返答はなかった。

「コメント欄をオンに」

 データベースを調べてみると、会見から一夜明けた翌13日の朝刊では、朝日、中日、静岡の3紙が静岡版に記事を掲載した。3紙とも「山梨の水か静岡の水かは議論しないが、ボーリングの中止は引き続き要請する」という知事の矛盾した見解をそのまま伝えた。

 興味深かったのは、会見で最後に飛び出した質問だ。ある記者が「知事定例会見をYouTubeライブで配信しているが、コメント欄がオフになっている。ぜひオンにしていただきたい」と“要望”したのだ。

 知事とのやり取りの中で、この記者は「(コメントが)荒れる可能性もあるのかもしれませんが」と付け加えた。地下水を巡る発言を考えれば当然の予想で、実際に会見場では笑い声も起きた。

 ところが、記者の意向を受け止めたのか受け流したのか、なぜか知事は“ジャーナリストの本懐”について熱く語り続け、コメント欄をオンにするかオフにするかは明言を避けた。何とも不思議な幕切れだった。

註1:10メートル当たり、0・05立方メートル/秒

註2:大井川とリニア=ボーリング「待った」 「水の戻し方」合意まで 県、JRに要請(静岡新聞:5月12日朝刊)

デイリー新潮編集部

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