リニア嫌いの川勝知事は“ご乱心” 「誤った珍説を披露するのはどうか」「風説の流布」「反省してないってことですよね」「そろそろ無理筋と気付いたら」会見で記者から前代未聞の集中砲火

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ボールの行方

 さっきまで記者と川勝知事は山梨県内のボーリング調査について議論していたのに、いきなり静岡県内での調査に話が飛ぶのは、ずいぶん性急な質問と思う向きもあるだろう。だが、そこには根拠がある。

 県の専門部会でも「山梨の水か静岡の水かを判断するには、静岡県側もボーリング調査するのが科学的」との意見が出されていたからだ。

 ちなみにこの記者は知事に質問する際、「知事もそのような科学的な考えはお持ちでしょうか?」と付け加えた。あまりに頑迷な知事に対する嫌味だったのかもしれない。

 ところが知事は、いわゆる“斜め上”の回答を行う。「JR東海がどう答えるかが問題だ」、「ボールはJR東海に投げられている」と答えたのだ。

 そもそも川勝知事は「ボーリング調査で出る山梨県の湧水は、実は静岡県の地下水」と主張し、調査の中止を求めていた。

 それが山梨県の長崎知事に一喝されると、「山梨県の水か、静岡県の水か」という議論は放棄すると公言した。ならば残るは、川勝知事が「ボーリング調査の中止要請は撤回します」と誤りを認めるかどうかが焦点になるはずだ。

 記者は「中止するか、しないか」を聞きたかったに違いない。ところが知事は、いきなりJR東海が問題の鍵を握っていると言う。この回答に驚いたのか、別の記者が「ボールがJR東海に投げられているというのが常人には理解し難いんですけれど?」と、かなり強い口調で質問した。ニュアンスとしては質問というより抗議に近い。

「難癖を付けているのは静岡県」

 静岡県は「ボーリング調査を中止しろ」とボールを投げた。だがJR東海は「山梨県内でも静岡県境から300メートル以内は慎重に掘削を行う」とし、山梨県も「わが県内で行われる調査に難癖を付けるな」と抗議した。JR東海も山梨県もボールは静岡県に戻しており、誰もが「ボールを持っているのは静岡県だ」と認識していた。

 川勝知事は「JRの説明が足りない」と主張した。しかし記者は「JRは散々、説明してきた」と反論する。専門部会も「科学的な調査に、ボーリング調査は不可欠」と言っている。ならば静岡県は、中止の主張を取り下げ、ボーリング調査を容認するしかない──。

 しかし川勝知事は「JRは疑念を払拭する必要がある」と譲らない。記者はJR東海が以前から水が出た場合の対処法も示していることから、疑念は払拭してきたと指摘。「難癖をつけているのは静岡県」だと強い口調で知事を批判した。

 だが、知事が歩み寄ることはなく、別の記者との質疑応答に応じた。しばらく一問一答が続くと、ボール問題を指摘した記者が「本当にわけがわからなくなったので、改めて確認させていただきたい」と質問の許可を求めた。

 記者が確認を求めたのは、次の4点だった。【1】知事は「山梨の水、静岡の水」議論はやめると明言した、【2】これで山梨県内のボーリング調査の中止を求める理論的根拠は消滅した、【3】よって県境300メートルからボーリング禁止という“規制”も撤廃し、県境まで調査を行うことが合理的、【4】静岡県内で同じボーリング調査を行うかどうかは、専門部会の見解を仰ぐ──。

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