リニア嫌いの川勝知事は“ご乱心” 「誤った珍説を披露するのはどうか」「風説の流布」「反省してないってことですよね」「そろそろ無理筋と気付いたら」会見で記者から前代未聞の集中砲火
「反省してないってこと」
厳しく追及しても川勝知事は理解しようとしない。そこで記者は、追求の矛先を変える。川勝知事の問題点を丁寧に指摘したのだ。一部を議事録から紹介しよう。
《JRは民間企業なんですよ。民間企業を貶めるような発言してて、ともすればJRの信頼を失墜しかねないですし、ましてやこんなの株価にでも影響すれば、風説の流布とも捉えられかねないようなことを行政が率先してやっていいんですか》
《南アルプスが重要なのは多分ここにいる県の職員の方も記者もみんなわかってます。それと間違ったことを公の場で言っていいっていうこととは同義にはならないし、イコールはならないと思うんです》
《ましてや知事は、何回もこれまで御自身の言動が県議会とか選挙とかで問題になってるわけですよね。だけれども、何でこんなことが続くんですか。反省してないってことですよね》
だが川勝知事は自分の非を認めようとはしない。記者は堪忍袋の緒が切れたのか、最後は《ちょっと何の言い訳をされてるのかよくわかんないですけれども、もういいです》と自ら質疑を打ち切ってしまった。
山梨県知事の怒り
記者による異例の訴えも、川勝知事の耳には届かなかったようだ。5月11日、静岡県はJR東海に文書を送付。《静岡県内の水の戻し方が決まらないままボーリングが進んでいくことに対する懸念》を指摘し、県境から300メートルの区間に近づいたため、削孔の中止を求めた(註2)。
山梨県内で行われる調査に、部外者である静岡県が正式に中止を要請したことになる。我慢の限界に達したのか、遂に山梨県の長崎幸太郎知事(54)が噛みついた。5月12日の定例会見で静岡県の文書について訊かれ、以下のように答えたのだ。山梨県のホームページからご紹介しよう。
《静岡県さんの議論には大変強い違和感を感じております。(中略)山梨県内の問題については山梨県が責任を持って行います》
《山梨県内の領域においてこのボーリング調査で出た水、これは山梨県内で出た水ですので、これは山梨県の水だというのが私は常識的な考え方なのではないかと思っています》
《山梨県内の活動について、いかなる県であっても、我々の頭越しに、何がしかおっしゃっていただくのは願わくばご遠慮願いたい》
長崎知事の発言に驚いたのか、川勝知事は5月24日、都内で開かれた関東地方知事会に出席した際に直接謝罪した。
これで問題は沈静化に向かう考えた人もいたかもしれない。確かに常識的な知事だったら、その後は発言を慎んだだろう。だが、川勝知事はそんなタイプではなかった。
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