奈良地裁に山上被告の減刑嘆願署名を送った女性の告白 母親は「生長の家」の信者 性自認で葛藤した人生 「いきなり死刑が執行されれば彼は無念に違いない」

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名門女子高に合格

 地元の小学校に通うと、酷いいじめを受けた。男子児童が4人がかりで斉藤さんの手足を持ち、床にたたきつけたり、ゴミ箱を投げつけたりといったことは日常茶飯事だったという。担任教師も全く助けてくれなかった。

「いじめは中学校まで続きました。私は対人恐怖症で学校を休みがちになりましたが、母は『あなたのためよ』と言って部屋中を引きずり回し、家から追い出します。父は幼い時に両親を亡くし、苦学して公認会計士の資格を取りました。世間のことをよく知っているので、母の右翼的な思想にはイライラして、よく夫婦喧嘩をしていました。ところが普段はケンカばかりしているのに、私が勉強しているかどうか見張るとか、そういうことだけは夫婦一丸となって協力します。私が風邪で寝込んで勉強を休んでいると、母に『椅子に縛り付けて勉強させろ!』と怒鳴ったことがあります」

 斉藤さんは小学校・中学校とも好成績を収め、高校受験では大学附属の女子高に補欠合格した。所在地は都内で、いわゆる“名門女子高”として知られている。

「いじめの問題とは別に、私は小学校・中学校で常に浮いた存在でした。それこそ担任の先生が学級委員の女子生徒に『かわいそうだから斉藤さんの友達になってあげなさい』と言われるような子供でした。成績が良いことが心の拠り所でしたが、高校では補欠合格ということもあって勉強について行けなくなりました。偏差値が高い学校だけあり、成績優秀な生徒が多いのですが、校風は派手でした。特に内部進学の同級生ともなると裕福で、私のお小遣いが月に3000円とかなのに、向こうは3万円とかもらっているわけです」

多摩美術大学を退学

 中学の時、斉藤さんは演劇部に入部した。ところが、「勉強の妨げになる」と両親が反対。斉藤さんは泣きじゃくって拒否したが、最後は強制的に退部させられた。

「内部進学の同級生の中には、芸能人の娘もいます。彼女たちは演劇や映画の世界を日常的なものとして触れていました。一方の私は演劇部に所属することも許されなかった。同級生は親に許されていることが多く、それはとても羨ましかったです。また、高校受験で入学した外部組の同級生となると、ずっと学級委員を続けて生徒会長も経験したような人たちばかりで、こちらも全く話が合いません。小中学校で常にいじめられていたなんて経験の持ち主は私だけで、登校するだけで惨めな気持ちになる。高校でいじめられることはありませんでしたが、学校をサボってぶらぶらしていたため成績が落ちました」

 担任教師は「附属高校に入ったのだから、エスカレーター式に大学へ行ける。そのまま大学に進みなさい」とアドバイスしてくれたが、納得はできなかった。進級は可能だったにもかかわらず、志願して留年。1年生をやり直した。だが、やはり成績は上がらなかった。結局、退学を選び、通信制のNHK学園を卒業した。

「両親は大学に通わないと許さないという考えの持ち主だったので、多摩美術大学に進みました。やはり課題の提出などにはついて行けないところがあったのですが、アルバイトで大道具や小道具の製作に携わることになり、『これで食べていける』と思って、2年生の時に大学を辞めてしまったんです。親に学費を出してもらっていることが負い目になっているのも大きな理由の一つでした」

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