リブゴルフとPGAツアーが和解も課題山積 モナハン会長が「手のひら返し」で最大の批判の的に
ルマイヤン会長の目的
リブゴルフの内部からは「ルマイヤン会長はリブゴルフを初めて抱いたベイビーのように感じており、リブゴルフを消滅させることは決してない」という声が漏れ聞こえてくる。
リブゴルフ選手のダスティン・ジョンソン やブライソン・デシャンボー は「ルマイヤン会長からは今年も2024年もリブゴルフは予定通り開催されると電話で聞かされた」と米メディアに明かした。
だが、サウジアラビアやオイルマネーの性質等々をあれほど激しく批判していたモナハン会長が、突然、180度態度を変えたこの世の中においては、「『誰かがこう言った』なんて話はいくらでも変わりうる」と前出のローゼンバーグ記者は見ている。
そして、「もしもルマイヤン会長がリブゴルフを何よりも大事にしたいと思っているのなら、ひたすらリブゴルフにオイルマネーを投入し、PGAツアーをマネーパワーで打倒すればいいだけのことだったはずだ。あえてPGAツアーと手を結んだのは、ルマイヤン会長のプライオリティがリブゴルフではなく自分の希望を叶えることだからだ」とも記している。
ルマイヤン会長の希望とは「世界のゴルフ界の中心になりたい」というもの。そのためには、PGAツアーと対立を続けながらリブゴルフを世界の中心に育てるより、PGAツアーと手を組むほうが得策と考えたのだと私も思う。
米議会が動く事態
PGAツアーと手を携えることに合意した相手は、リブゴルフではなくあくまでもPIFなのだ。そしてPGAツアーとPIFはともに営利法人としての新組織を立ち上げ、その会長にはPIFのルマイヤン会長、その下のCEOにはPGAツアーのモナハン会長が就任するとされている。
しかし、これらはまだ「彼らの合意段階」に過ぎず、実現されることが決まったわけではない。その実現のためには、いくつかのハードルをクリアする必要がある。
両者の合意が発表されるやいなや、米司法省は反トラスト法(独占禁止法)違反を指摘し、即刻、調査を開始した。
米議会でも上院財政委員会から「統合合意が米国のためになるのかどうかを彼らは米国民に説明する必要がある」という声が上がり、上院常任小委員会はルマイヤン会長、モナハン会長、ノーマンCEOの3人に対して7月11日に登院するよう正式に要請している。
ゴルフ界という枠を超え、アメリカ合衆国の問題にまで発展しつつあるこの現状を、果たしてルマイヤン会長やモナハン会長はどこまでコントロールできるのか。
そしてPGAツアーは、本来は選手たちの総意によって動かされるべき非営利法人なのだから、選手たちの合意が得られない限り「会長たちの合意」が勝手に一人歩きすることは許されないはずだ。
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