プリゴジン反乱 真の原因を作ったのは「ロシア軍のだらしなさ」 「太平洋戦争のドーリットル空襲を思い出す」

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PMCの実態

 26日にプリゴジン氏は音声データをSNSに投稿し、「政権転覆のために進軍したのではない」などと釈明。ロシア国防省などの“陰謀”により、7月1日にワグネルは解散すると発表した。

 すると27日未明、ウラジーミル・プーチン大統領(70)が演説。改めてプリゴジン氏を非難した上で、処分を検討していると明らかにした。一方、ベラルーシの国営メディアはプリゴジン氏が入国したと報道。複数の専門家は「たとえプリゴジン氏がベラルーシで保護されても暗殺される可能性がある」と指摘するなど、まだまだ予断を許さない情勢だ。

 軍事ジャーナリストは「現地の映像を見て、改めてワグネルは一般的な民間軍事会社(PMC)とは違うと痛感しました」と言う。

「ボロネジ市に集結したワグネルの映像を見ると、戦車や装甲車、対空ミサイルなどが映し出されていました。これほど重装備のPMCは見たことがありません。やはりワグネルは、常識では測れない組織だと思います」

 2008年のアメリカ映画「ハート・ロッカー」は、アカデミー賞で作品賞や監督賞など6部門を受賞した戦争映画だ。イラク戦争におけるアメリカ軍・爆破物処理班の日常が描かれており、劇中にPMCが登場する。

「主人公たちは正規のアメリカ兵ですから、軍の汎用輸送車両ハンヴィーに乗り、屋根の上にはブローニングM2重機関銃が備え付けてあります。兵士は正式の軍装で、武器も規則に従い、自動小銃は全員が同じものを手にしています。一方、PMCの戦闘員は服装も自動小銃もバラバラです。ヘルメットを被っている兵士も少なく、頭にターバンのようなものを巻いている者もいます。さらに、乗っている車両は市販のSUVで、何の兵器も取り付けられていません」(同・軍事ジャーナリスト)

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