「ロシア軍の砲撃はもう真っ平だ」「地雷が流れてきた」 ダム破壊で浸水のヘルソン市最新レポート

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街中にコンクリート製の緊急避難所が出現

 あっという間に収束したとはいえ、「ワグネルの乱」に象徴されるように、ロシア・ウクライナ戦争はますます混沌としてきているようだ。

 激戦の伝えられるウクライナ東部のバフムトから北西30キロに位置する街・スラビャンスクには、最近、新たな「インフラ」が登場した。

 厚さ20センチ、2.5×4メートルの外壁でコンテナのような形状のこの大きな箱は、コンクリート製の緊急避難所だ。走る人の姿と「SAFE PLACE」の文字が描かれた急造避難所が歩道や公園に次々と出現した。

 こうした攻撃への備えとは裏腹に、反転攻勢早々、巨大ダムが破壊され、ウクライナ側の被害は拡大の一途をたどっている。ダム決壊の影響は下流の街、ヘルソンにどのように及んでいるのか。ボランティア活動を続けながら現地で取材を続ける写真家・尾崎孝史氏による最新レポートをお届けしよう。

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 6月6日に決壊したドニプロ川のカホフカダム。昨年10月ゼレンスキー大統領は、「ロシアがダムに爆弾を仕掛けたという情報がある」と語り、将来的に自作自演工作が行われることを示唆していた。今回のダム破壊が誰の仕業かは不明だが、ウクライナ当局によると洪水は600平方キロにおよび、約4千戸が浸水しているという。下流の街はどうなっているのか。ドニプロ川西岸のヘルソン市に向かった。

 市街地に入ると幹線道路の両脇に浸水地帯が現れた。中心部の公園や目抜き通りに人影はなく、兵士10人ほどが立って規制線を張っている。見ると100メートルほど坂を下った先に水が迫っていた。

 水没した広場の中央には金属製の大きなオブジェが立っている。周囲の店舗は水に浸かっているが、かろうじて電柱にぶら下がる矢印が交通標識であると分かった。ここは欧米で主流のロータリー型交差点だった。週末の夕方、普段なら周辺のカフェでくつろぐ家族やカップルの姿が見られたことだろう。

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