坂本勇人が右足太ももを肉離れ 自転車のチューブを患部に巻いて出場した記憶が【柴田勲のセブンアイズ】

  • ブックマーク

広島にも苦手意識

 巨人が本格的な反撃に出ることができない。広島との3連戦(マツダ)を1勝2敗と負け越した。貯金はまだ「2」あるが、4位に転落してしまった。

 さあ、これからという時の負け越しだ。気勢をそがれただけではなく、チーム力が減退した。後々響く結果になったと思う。

 広島との対戦成績はこれで4勝8敗だ。阪神戦を2勝6敗と苦戦しているが、広島にも苦手意識を作ってしまった。苦手チームがあったシーズンは優勝するのが難しくなる。払拭するはずが裏目に出た。1勝2敗……実質“1勝3敗”のような感じがする。

坂本が肉離れ

 もっともケガをしてほしくなかった選手がケガをした。坂本勇人だ。23日、1回に先頭の打者として二塁内野安打を放ったが、一塁を駆け抜けた際、右足の太ももを痛めた。どうやら肉離れのようだ。

 坂本はこれまでわき腹の負傷などはあったが下半身系の大きな負傷はなかった。肉離れは長引く可能性がある。復帰までには最低でも1カ月以上かかるのではないか。前半戦絶望の可能性が高い。

 中田翔も、右太もも肉離れで一時戦線を離脱した。全治6~7週間の診断だったものの、3週間で復帰した。回復力が強かったことがあるし、彼の場合は「走る」ことをあまり期待されていない。打撃と守備力でOKだ。

 遊撃手の坂本は守備範囲が広いし、走塁面では瞬発力を駆使する。ここのところ、1番打者として打撃好調で4番・岡本和真とともにチームを支えてきた。

 巨人、踏んだり蹴ったりだ。

現役時代、肉離れをごまかしてプレー

 私も現役時代、左右どちらの足も肉離れを4、5回やったことがある。打って第一歩を踏み出した時、盗塁しようとスタートした時、いつやるか分からない。

 それでも試合を休んだのは4、5試合ほどだった。自転車のチューブを患部に巻いて出場した。川上(哲治)監督が私を休ませてくれなかった。「相手は(柴田が)ケガをしたことを知らない。走る、走るという格好をすればいいんだ」まあ、こんな感じだ。

 足を引きずるワケにはいかない。ごまかしながらプレーした。ただ、試合が終わってから痛くなる。遠征先の宿舎では何枚も重ねた布団の上に足を乗せて寝た。川上さんにすれば王(貞治)さん、長嶋(茂雄)さんとともに私もベンチに入れたい選手だったのだろう。

 川上さんは「足、腰、手……どこも悪くないという選手はいない。休みたいのならそのまま2軍にいてもいいよ」とよく話していた。

 坂本の肉離れを聞いて現役時代のことを思い出した。現在は考えられないことだ。

次ページ:原監督の焦りが見えた

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。