ドラフト戦線に異常あり? 大学生は“空前の大豊作”なのに、スカウトが「即戦力が少ない」と指摘する理由
プロ入り後にレベルアップできるか
かつては大学からプロ入りした選手は「即戦力」と扱われることが多かった一方で、スカウトのコメントにもあるように、プロ野球のレベルが上がっていることもせいか、近年は苦戦している大学卒ルーキーも少なくない。
今年も、完全に主力となっている大学卒ルーキーは不在だ。昨年は4球団が1位で競合した隅田知一郎(西武)が1勝10敗と大きく負け越した。パ・リーグの新人王が5年連続で「プロ入り2年目以降」の選手が受賞している点も、即戦力ルーキーが乏しいことを象徴している。
ただし、少ないながらも1年目から活躍できる大学卒ルーキーがいることもまた事実である。過去5年を振り返ると、投手では、東克樹(DeNA)、森下暢仁(広島)、伊藤大海(日本ハム)、大勢(巨人)。野手では、牧秀悟(DeNA)や佐藤輝明(阪神)が即戦力として十分な活躍を見せている。彼らはなぜ1年目から一軍で主力となることができたのか。
「ここ数年プロで1年目から活躍している選手を見ると、明らかにプロ入り後の短期間にレベルアップしています。投手なら大学時代よりスピードが上がる、球種が増える、野手であれば対応力が上がるという特徴があると思います。牧はその典型で、大学時代よりも明らかに右方向の打球が伸びるようになりました。あれだけ活躍すると分かっていれば、どの球団も1位で指名しますよね(実際の順位は2位)。プロの高いレベルに混ざった時に、自信をなくすことなく、レベルアップできるような選手を見極めないといけないと思います」(前出のスカウト)
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