「報道ステーション」 タイタニック潜水艇報道で大ホームラン 何が起きているのか?
他の番組は1分以内
ちなみに、各局がこのニュースを報じ始めたのは同じ20日の朝から。テレ朝では「グッド!モーニング」が27秒、「羽鳥慎一モーニングショー」も森山みなみアナが読み上げるだけで50秒、「大下容子ワイド!スクランブル」は番組内のANNニュースで林美沙希アナが1分ほど報じただけだった。
「夜になっても行方不明のままですから、特に状況が変わったわけではありません。実際、大越さんの古巣である『ニュースウオッチ9』(NHK)もこのニュースを取り上げたのは番組後半、9番手のネタで、たったの44秒。他局も同様です」
なぜ「報ステ」だけが、こんなにタイタニック号の観光船に熱心だったのか。
「1912年に発生した豪華客船タイタニック号の沈没は世界中で知られる歴史的大事故であり、日本人乗客で唯一生還した細野正文氏がミュージシャンの細野晴臣氏の祖父ということもあって日本でも関心が高い。レオナルド・ディカプリオが主演した映画『タイタニック』(1997年)の日本国内での興収262億円は、いまも実写映画では歴代トップです。これだけでも十分にキャッチーなネタですが、このタイタニック号を探索に行った潜水艇が行方不明になったことに興味をそそられる人も少なくないのでしょう。おかげで、この日の『報ステ』の視聴率は10・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯:以下同)と2桁に乗せ、『ニュースウオッチ9』の8・0%に大差をつけることができたのです」
とはいえ、他の報道番組は大きく報じなかった。
「もちろん、報道番組の王者を自認する『報ステ』が16分も割くニュースではないという意見はあるでしょうが、テレ朝は民放テレビ局ですからね。視聴率を狙いに行ったということでしょう」
ワイドショーの番組スタッフからは、「報ステ、お見事」という声が上がっているという。
「この後、潜水艇のニュースは、各局が大きく取り上げるようになりました。『報ステ』に先見の明があるプロデューサーがいるということでしょう。かつてワイドショーが華やかなりし頃は、“視聴者の興味のあるネタだけドーンと行け!”とかよく言われたものです。今の時代にそれを地で行っているのが、最近の『報ステ』です。いまやワイドショー化、いやワイドショーの先を行く番組になりつつあります」